知事リコール不正署名事件で事務局長らを逮捕


妻子ら3人も、愛知県警が指紋鑑定で一部署名の偽造を断定

知事リコール不正署名事件で事務局長らを逮捕

田中孝博容疑者(時事)

知事リコール不正署名事件で事務局長らを逮捕

愛知県知事へのリコール運動で署名を偽造した疑いで逮捕され、車で県警本部に入る田中孝博容疑者(中央)=19日午前、名古屋市中区(時事)

 愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)運動をめぐる不正署名事件で、県警捜査2課は19日、地方自治法違反(署名偽造)容疑で、リコール団体事務局長の元県議、田中孝博容疑者(59)同県稲沢市ら4人を逮捕した。同課は4人の認否を明らかにしていない。

 国際芸術祭の企画展に端を発した知事へのリコール運動は、「民意」を捏造(ねつぞう)した疑いで関係者が逮捕される事態に発展した。

 事件をめぐっては、広告関連会社が下請けを通じて代筆のアルバイトを集め、佐賀市の施設で署名を組織的に偽造した疑いが浮上。同課は田中容疑者が主導したとみて、全容解明を目指す。

 他に逮捕されたのは、田中容疑者の妻なおみ(58)、次男の雅人(28)、リコール団体事務局の会計責任者渡辺美智代(54)各容疑者。

 逮捕容疑は昨年10月下旬ごろ、愛知県知事のリコール署名に関し、県外で雇ったバイトらに代筆させ、署名を偽造した疑い。

 県選挙管理委員会の調査では、提出署名の8割超に当たる約36万人分が有効ではないことが判明。同じ筆跡とみられるケースや、既に死亡した住民の名前も含まれていた。同課は、指紋の鑑定結果や事務局の関係者らの証言などを基に一部の署名は偽造されたと断定。自分の名前が使われたと訴える人からも話を聴き、偽造の裏付けを進めたという。

 田中容疑者は逮捕前の今月初旬、取材に応じ、広告関連会社に代筆を依頼したことは認めた上で、「違法性はないと認識していた」と話していた。

 リコール運動は、従軍慰安婦を象徴する少女像などが展示された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展がきっかけ。芸術祭実行委員会会長だった大村知事を批判する美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが署名集めを始め、河村たかし名古屋市長も協力していた。