医療を支える聖火ランナー三輪茂之さんが走る


島根県津和野町の病院に勤務、パラ代表の娘を走りで応援

医療を支える聖火ランナー三輪茂之さんが走る

聖火ランナーを務める医師の三輪茂之さん=15日、島根県津和野町(代表撮影・時事)

 島根県津和野町の病院に勤務する医師、三輪茂之さん(61)山口市が15日、聖火ランナーとして同町を走った。地域医療を支えながら、高齢者へのワクチン接種にも当たる三輪さんは、新型コロナウイルスと闘う全国の医療従事者に思いをはせつつトーチをつなぐ。

 次女の廣瀬順子さん(30)は、視覚障害者柔道で東京パラリンピック代表に内定している。三輪さんは「一緒に参加できるので大変うれしい。走ることで応援していると伝えたい」と話す。

 医師が不足する津和野町へ2016年に赴任し、現在は津和野共存病院の院長として地域を支える。今年4月末からは高齢者へのワクチン接種に従事。約2400人を担当し、リレー前日も業務に当たった。ワクチンの効果で一日も早く日常生活が戻ることを願う。

 小学5年で柔道を始めた順子さんは、病気の合併症のため19歳で視力を失った。「まさか自分の娘が」と思い将来に不安を感じたが、柔道を再開すると聞かされ、その意欲を喜んだ。

 順子さんはリオデジャネイロ大会で銅メダルを獲得し、現在も世界ランキング3位。東京大会でもメダル候補だ。「出られただけでもありがたいが、金メダルが一番うれしい」と語る三輪さんは、試合当日のチケットを購入し、大会を待ちわびている。

 「都市部の医療従事者は、どんどん患者が増えて大変だと思う」と思いやる三輪さん。「五輪に向け頑張っている選手に、しっかりリレーの火をつなぎたい」と考え、出走当日を迎えた。

 島根県の第1走者としてリレーを終えた三輪さんは「重責を感じたが、無事に果たせてよかった」とほっとした様子。「聖火は希望の光。リレーで日本中につながり、無事感染が収まって五輪・パラリンピックが開催されたらいいなと思った」と話した。