日米豪印演習 自由を守る上で欠かせない
インド国防省は、米軍・海上自衛隊と毎年実施している合同海上演習「マラバール」について、今年はオーストラリアが参加すると発表した。
海洋進出などで覇権主義的を動きを強める中国を念頭に「クアッド」と呼ばれる日米豪印の連携強化を図る。
4カ国参加は13年ぶり
マラバールは米印海軍の訓練の枠組みとして始まり、2017年に日本が正式に加わった。18年はグアム、19年は日本の周辺で行われた。
今年のマラバールはインド海軍が主導する。11月の上旬と中旬に2回の演習を予定し、ベンガル湾やニコバル諸島などのほか、中国が軍事拠点化を進める南シナ海も対象となる。
今回は日米豪印が参加する13年ぶりの訓練となる。豪州は07年に参加した際、4カ国の連携を「対中包囲網」と捉える中国が反発したため、これ以降は参加を見送っていた。中国との関係に配慮したインドが、豪州の参加に慎重な姿勢を示してきた経緯がある。
ただ豪州は同盟国の米国に歩調を合わせ、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の次世代通信規格「5G」市場への参入を禁止。4月には、新型コロナウイルスの発生源を調査するよう国際社会に訴えたことで中国との対立が激化した。インドも6月、国境地帯での中国軍との衝突で45年ぶりに死者を出し、緊張を高めている。
中国が近年、南シナ海に強引に進出し、インド洋でもインド周辺に拠点を築く「真珠の首飾り」戦略を展開していることに対する強い警戒感も、両国の対中姿勢の変化を後押ししたと見ていい。
クアッドの起源は、04年のインドネシア・スマトラ島沖地震で起きた津波の被災地支援における日米豪印の協力にあるとされる。それが安全保障の分野でも議論や行動に拡大し、今日に至っている。
民主主義などの価値観を共有する4カ国は、中国への対抗を念頭に連携強化を図っている。10月には東京都内で外相会談を実施し、海洋安全保障で協力を強化することで一致した。日米豪印の連携は「自由で開かれたインド太平洋」構想を進める上で欠かせないものである。今後、定期的に会合が開かれることが望ましい。
クアッドを構成する国同士の2国間防衛協力も進んでいる。岸信夫防衛相は10月、レイノルズ豪国防相との会談で、自衛隊が豪州軍の艦艇や航空機を警護する「武器等防護」の実施に向けた調整を開始することで一致した。
集団的自衛権行使を一部容認する安全保障関連法に基づく措置で、実現すれば米国に続き2カ国目となる。日豪両国の準同盟関係の強化を示すものだと言えよう。
重層的な関係構築を
一方、米国とインドは外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を実施。ポンペオ米国務長官は「米印両国は中国共産党の脅威を打ち破るため協力する」と述べた。
日米豪印は経済なども含め、重層的な関係を築いていく必要がある。