福沢諭吉を標的にする左翼

 今、恐ろしい歴史の書き換えが計画されている。明治維新以降の日本の歴史をすべて悪の歴史にしようというものだ。近隣諸国を侵略して迷惑を掛けたというだけではない、富国強兵、殖産興業そのものが悪だと主張するのだ。国を豊かにし、繁栄させようとすること自体を悪にする、とんでもない思想である。共産主義者や左翼が画策している、強くなりたい豊かになりたいという発想、そして欲望のすべてを否定する考え方と戦わなければならない。

 昨年9月、「岩波ブックレット『明治礼賛』の正体」(斎藤貴男)が出版された。「明治に学べ」の国策が危機をもたらすとし、政府が目指す21世紀版<殖産興業・富国強兵>の実態を暴いていると宣伝している。福澤諭吉が先導した「殖産興業・富国強兵」路線を批判した著者が結びの章で対置しているのが、中江兆民、幸徳秋水、石橋湛山らの「小国主義」である。また、安川寿之輔名古屋大学名誉教授は、「戦後民主主義は虚妄であった」と題する、戦後、日本に民主主義は存在しなかったという著作を執筆・出版する計画を明らかにしている。

 人気漫画『美味しんぼ』の作者である雁屋哲氏がこの運動に参加している。彼は、ブログ「雁屋哲の今日もまた」で、安倍政権への誹謗中傷を開始した。雁屋氏の2018年7月11日ブログでは安倍首相を汚い言葉で罵った文章を掲載している。2017年5月4日のブログには、安倍晋三首相に対する抗議デモに参加したとも書き込んでいる。彼は、『まさかの福澤諭吉』というマンガを原作し、「福澤諭吉は本当に偉人なのか?『美味しんぼ』の雁屋哲があばく、『民主主義者』の裏の顔! 朝鮮の軍事クーデタを画策し、中国との戦争をあおる」と、近代日本の進路を定めた福澤諭吉を攻撃している。

 雁屋氏は安倍政権を批判する政治論文を発表している。別の政治論文で、『美味しんぼ』第104巻「食と環境問題」100ページ以下で「豊洲の土壌問題」を扱ったと書いている(両論文とも雑誌『さようなら!福沢諭吉』に掲載)。漫画『美味しんぼ』は、左翼的偏向の意図が最初からあったのである。私は、良識ある皆さんにボイコットを呼び掛けたい。

 日本の生んだ偉人であり、偉大な啓蒙思想家であった福澤諭吉を標的にして、日本の近代の歴史を攻撃する動きが強まっている。彼らは、福澤諭吉を一万円札の肖像画から降ろすことを目標に、福澤諭吉や安倍政権などを攻撃している。中心になっているのは、前述の安川寿之輔、雁屋哲、帯広畜産大学教授・杉田聡の各氏である。

 また、問題を起こして東京都の教員を解雇になった増田都子氏、反原発運動活動家、反沖縄米軍基地活動家らがそれぞれのテーマで、年2回発行の雑誌『さようなら!福沢諭吉』に論文を執筆している。賛同団体には、歴史教育協会と日本平和委員会のように、日本共産党と関係が深い団体もある。週刊金曜日も全面支援している。