国連委と左派NGOの癒着
8月にジュネーブ国連本部で開催された人種差別撤廃委員会において対日審査会が開催され、日本政府への最終報告書が発表された。今回の対日勧告では、慰安婦問題について、政府間合意では恒久的な問題解決にならないと批判した。
今回の対日勧告はNGO(非政府組織)の意見書を踏まえて、対日審査会を経て出されたものであるが、不当にも日本の左派のNGOと人種差別撤廃委員会の委員との予定表には書かれていない非公式な秘密会合が開催され、左派NGO意見書の主張が色濃く委員会の最終報告書に盛り込まれたことが判明した。
左派NGOには、日本弁護士連合会(日弁連)、在日本大韓民国民団(民団)、人種差別撤廃NGOネットワークERD(反差別国際運動=部落解放19NGO合同)、WAM(女たちの戦争と平和資料館)、琉球先住民族協会などが含まれている。
左派NGOの意見書が人種差別撤廃委員会の対日勧告に反映した内容は次の通りである。
①国内人権機関を設置するよう勧告(日弁連、ERD、民団)②人種差別撤廃条約第4条留保の撤回(ERD、民団)③部落民に対する差別を世系に基づく差別と認めること(日弁連、ERD)④在日朝鮮人の地方参政権、高校就学支援金制度の支援金支給において「朝鮮学校」が差別されないこと(民団、日弁連、ERD)⑤「慰安婦」問題への被害者中心アプローチ、政府の責任を矮小化する公人の発言への懸念、生存する「慰安婦」とその家族への十分な施策(日弁連、WAM)⑥ヘイトスピーチとヘイトクライムへの対応(日弁連、民団、ERD)⑦アイヌ民族の土地と資源の権利を保護(日弁連、ERD)⑧琉球人を先住民族と認め権利を保護(琉球先住民族協会、ERD)⑨女性に対する交差的差別と暴力への対応(日弁連、ERD)⑩人身取引を犯罪化する特定の法律の採択(日弁連、ERD)
この他にも「難民及び庇護申請者」など多岐にわたるが、ほとんどの「対日勧告」に最も大きな影響を与えているのが日弁連とERDである点に注目する必要があろう。
このような左派NGOと国連委との癒着、連携はいつごろから始まり、NGOの意見書や働き掛けが、委員会の対日勧告にどのように反映されているかについて、過去にさかのぼって実証的に検証する必要がある。
その上で、日本政府として真摯(しんし)に対応すべき内容と、日本政府の立場を明確にして反論すべき内容とを区別する必要がある。慰安婦問題は明らかに後者である。
委員会の対日勧告を水戸黄門の印籠のように絶対視してはならない。日本政府は主体性をもって是々非々の姿勢を堅持して、冷静に対応すべきである。
『部落解放』9月号(解放出版社)の特集「反差別国際運動30周年記念」によれば、国連人権部の久保田洋氏から国連との協議資格を持ったNGOの設立を勧められて申請したことが出発点になったようである。
この30年間の国連委と左派NGOの癒着の歴史を徹底的に検証し、歴史認識問題研究会の研究誌『歴史認識問題研究』(年2回発行)に連載していきたい。