続く生徒の自殺事件 人間愛による教育が必要
誤解や体罰で折れる心
子供たちの自殺事件が続いている。
昨年12月、広島県府中町立府中緑ヶ丘中学3年の男子生徒(15)が自殺。学校の誤った万引き記録による「指導」で私立高校受験の推薦を受けることができず、それが自殺の原因とみられている。
それまで非行歴の調査対象が「中学3年時」だったのを坂元弘校長独自の判断で「1~3年時」に拡大実施したため、担任教師は1、2年当時の非行歴の把握を求められ、誤った過去の記録を利用したのが少年の自殺の原因となったようだ。
そのために中3少年(15)は、私立高校受験の推薦を得られず、高校入試の機会を失い、絶望の末に昨年12月に自殺したとみられている。同中学校は男子生徒の自殺の結果、町教委の指導により、受験生徒の非行対象期間を元に戻したという。
学校側のいい加減な非行歴のある生徒のリスト作成、問題を抱えた生徒への無責任な対応が、一少年の命を奪ったと言われても仕方がない事件であった。
もう一つは、大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将の男子生徒(17)が、同部顧問の教諭から日常的に体罰を受けていた暴力と指導のはき違えである。2012年9月に主将に就任して以来、高校2年の少年は同年12月22日、他校との練習試合中に同顧問から顔を平手で何度も叩かれる体罰を受け、翌朝自宅で首を吊(つ)った状態で自殺を遂げ、病院で死亡確認が行われた。顧問は懲戒免職された。
高2の少年には遺書があったようで、遺族は暴力教師のいた大阪市に、1億7400万円の賠償を求める裁判を起こし、本年2月24日に東京地裁で判決が下り、「元教諭の暴行が自殺の原因」として、7500万円の支払いを大阪市側に命じた。
生徒の遺書や自殺直前の教師の暴力などの因果関係が認められ、元教師は懲役1年、執行猶予3年の判決が確定しているが、自殺した少年の命は失われ、父母は大切な息子を亡くし、指導教諭は犯罪者となった。
川崎市における上村遼太君(13)の中高生ら少年グループによる殺害事件といい、一連の少年たちの教師による不適切な指導の結果増え続けた自殺といい、現代の教師たちに問題や悩みを抱えた生徒に対する真の愛情や責任感があるのか、と疑いたくなる。
文部行政の指導の甘さに加え、革新系政党の票田に甘んじた教員組合の異常な教育の名残が、適切でない教師の世界を生み出しているように思われる。
成長する子供たちには絶対の人間愛が必要である。それは父母兄弟であり、学校における教師たちなのだ。日教組による「教師は労働者である」と倫理綱領に示した意識の違いが、中高生の自殺事件を引き起こしたと言えないだろうか。
親同様の愛情があれば
今回取り上げた、自殺した2人に対して、親同様の教育者としての責任と使命感、そして教育愛があっただろうか。
もし、少年たちへの愛の一滴があれば彼らは死なずに済んだであろう。「労働者」に成り切った教師たちの問題ある生徒に冷たい事なかれ主義、あるいは試合の勝敗のために生徒を極限に追い込む不適切な指導で引き起こした悲劇と私は見ている。
日教組をゼロにする教育改革が必要である。給料さえ得ればそれでよい「労働者」ムードから「聖職者」モードにスイッチを切り替え、子供の笑顔があふれる教師の世界こそ真に日本の教育がよみがえる“時”なのだ。