自衛官自殺率の虚偽 募集に響くマスコミ誤報

柳澤協二氏の数字は嘘

 平和安全法制が国会に提出されると、野党及びマスコミは、60年安保、PKO法、周辺事態法、有事法制(武力攻撃事態法)の時と同じように、「戦争法だ」「徴兵制になる」「アメリカの戦争に巻き込まれる」「憲法9条をPRすればいい」「有事法制は憲法違反」などと言って反対を繰り返す。

 また安倍総理や与党が国民からの圧倒的な支持を得て、丁寧な国政運営をしているのにも関わらず、「安倍総理の独裁」や「自民党の暴走」といった感情的な批判・発言も憲政及び民主主義への冒涜(ぼうとく)と言える。

 今回は、危険、リスクが多いといったキャンペーンの中で、「自衛隊の自殺者が多い」という批判に正しく反論する。

 「週刊現代」(平成27年6月13日号)は、「なんと自殺者54名!自衛隊の『異常な仕事』」という見出しを付けて「危険な任務による……、自殺者は異常なまでに多い」との記事を掲載した。

 記事には、第一次安倍内閣で内閣官房副長官補(安保・危機管理担当)を務めた柳澤協二氏の発言として「そもそも、自衛隊全体で隊員10万人あたりの自殺者数を計算すると30~40人となり、これは世間一般の1・5倍と多い。しかしイラク派遣部隊の数字は、さらにその約10倍になるのです」と掲載している。

 そこで、私は防衛省に自殺の事実関係の調査を依頼した。

 結果は、こうだ。

 最近発表された自殺対策白書で、男性と女性に自殺死亡数に大きな差があることだ。自殺死亡数は、男性は女性の2倍以上の数にのぼるという事実である。女性に比べ男性の自殺が多いということだ。自衛官は約95%が男性だ。

 ということは、自殺死亡率は一般男性と自衛官を比較するのが正しいということになる。

 自殺死亡率は、対象となる母集団の構成要因が分母で、その自殺死亡者数に10万人を掛けた数字となる。

 平成17年度から26年度末までの10年間における平均自殺死亡率(10万人あたり)では、一般成人男性(20歳から59歳)が約40・8人、男性自衛官(自衛官の約95%)が約35・9人、イラク特措法に基づき派遣された自衛官:約33・0人。

 以上の率から不等号で記せば、一般成人男性>男性自衛官>イラク派遣自衛官、となり、柳澤氏の発言は完全な嘘であることが分かる。

 こうした虚偽の数字が一人歩きし、自衛官の募集に悪影響を及ぼしている。自衛官になろうとする親御さんが心配するからだ。

東京新聞おわびと訂正

 イラク派遣自衛隊員に関する「おわびと訂正」が東京新聞(平成27年6月25日)朝刊の28面に掲載された。記事は次のようなものだ。

 ――2012年(平成24年)9月27日朝刊1面に掲載した「イラク帰還隊員25人自殺」の記事について、(略)

 記事中の「イラク特措法で派遣され、帰国後に自殺した隊員を十万人あたりに置き換えると陸自は三四五・五人で自衛隊全体の十倍、空自は一六六・七人で五倍になる。」「一般公務員の一・五倍とただでさえ自殺者が多い自衛隊にあっても極めて高率だ。」の二カ所を削除します。さらに「自衛隊全体の自殺者数を押し上げている。」とあるのを「自衛隊全体の自殺者数を押し上げている可能性がある。」と訂正し、おわびします。――

 東京新聞は、編集委員の半田滋氏の署名入りの間違い記事を3年間そのままにしてきた。

 間違い記事は1面で大きく、その後の訂正記事は28面で小さく、これが新聞社の姿勢である。

 この記事によって、自衛隊の募集活動などに及ぼした悪影響は大きい。

 新聞は、全てが正しい報道と思わない方がいい。

 世間では、自衛官の自殺者数が多いとなっているが、読者は、これは全くのデマであり嘘であることがお分かりいだけたかと思う。この真実を是非とも多くの方に広めてもらいたい。

 最近、お嫁さんが来てくれないと嘆く若者諸君!

 その点、自衛官は人気があり、「自衛官と結婚したい!」と考える女子は増えている。

 これも、事実であり真実である。