安保法制整備について 事実踏まえ冷静な議論を
出鱈目な反対や疑念
自民・公明の両党は3月20日、安全保障法制整備に関する与党協議会で「安全保障法制整備の具体的な方向性について」を取りまとめた。
これは、与党として、現時点における法整備の具体的な方向性について、一定の認識を共有するに至ったところをとりまとめたものだ。政府はこの方向性に即して作業を加速化し、必要な法案を5月半ばには国会に提出できるようさらに準備を進めていくよう求めたものだ。
内容は、自衛隊の海外での活動について「国際法上の正当性を有すること」「国会の関与等の民主的統制が適切に確保されること」「自衛隊員の安全の確保のための必要な措置を定めること」―の三つでこの方針を明記した。
その上で新たな法制整備の検討分野として、①武力攻撃に至らない侵害への対処(グレーゾーン)、②我が国の平和と安全に資する活動を行う他国軍隊に対する支援活動(周辺事態安全確保法)、③国際社会の平和と安全への一層の貢献では、(国際社会の平和と安全のために活動する他国軍隊に対する支援活動=新法を検討)と国際的な平和協力活動の実施(国際平和協力法)、④憲法第9条の下で許容される自衛の措置(自衛隊法、事態対処法等)、⑤その他で、船舶検査活動(船舶検査活動法)、他国軍隊に対する物品・役務の提供(自衛隊法)、在外邦人の救出(自衛隊法)―などに整理した。
具体的には、わが国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の武器などを自衛隊が防護できるようにするほか、わが国および国際社会の平和と安全のために活動する他国軍隊に対する必要な支援活動を可能とするため、周辺事態安全確保法を改正するとともに、国会の事前承認を基本とする新法の制定を検討することや、国連PKO以外の活動等も実施可能にするため、国際平和協力法の改正を検討すること。
また、憲法第9条の下で許容される自衛の措置については、武力行使の「新3要件」の考え方を自衛隊法などに過不足なく盛り込むと明記。領域国の受け入れ同意がある場合には、武器使用を伴う在外邦人の救出を可能にすることなども盛り込んだ。
今後、与党協議会は、4月中旬頃から政府の法案準備作業を踏まえ、法案審査に向けた検討を行うことになる。5月中旬以降、法案が国会に提出され、審議が尽くされることになる。その結果として、法律が成立して、はじめて、自衛隊が行動できることになる。
ところが、マスコミおよび野党は、相変わらず安全保障法制が整備されると「日本が戦争する国になるのではないですか?」「将来、自分たちの子供や若者が戦場に行かされるのではないですか。徴兵制になるのでは?」といった出鱈目(でたらめ)な批判や疑念があとを絶たない。
批判と逆だった安保等
1960年の日米安全保障条約の改定時も、批判の主な内容は現在と同じように「戦争に巻き込まれる」というものであった。しかし、この改正によって、むしろ日本の抑止力が高まり、アジア太平洋地域における米国のプレゼンスによって、今日では、平和がより確固たるものとなり、戦争に巻き込まれる可能性はより低くなっていく。
また冷戦が終結し、日本は国連PKOへの自衛隊参加に道を開いた。当時も「自衛隊の海外派兵反対」「戦争への道」だと批判されたが、カンボジア、モザンビーク、南スーダンなど自衛隊の活動は世界の平和に大きく貢献、感謝され、高い評価を得ている。
その結果、当時、猛烈に反対した人の多くでさえも、今では評価に転じている。徴兵制も憲法18条の関係から憲法上認められない。こうした事実を踏まえて、冷静に安全保障法制は議論すべきものである。