カネで濁る教育と政治 報酬は働いた分だけに
政治を濁す日教組資金
“いくそたび かき濁しても 澄みかへる 水やみ国の 姿なるらむ”(八田知紀)
人の世の濁りについては、その昔、不幸な政府の弾圧にも耐えて、仏教の道を開き、いまだに多くの信者を持つ僧、親鸞も教えている(五濁)。
しかし、まさに現代の犯罪と、殺人・児童遺棄など平然と行う若い世代の行状を見て、肌寒さを感じるこの頃である。
別れた妻が置いて行った幼児が、「パパ、パパ……」と呼びながら餓死していった5歳の男の子。
その一方で、失職したか、家族問題か、年間3万人を超えていた自殺者の数。
さらに学校内で起きる“いじめ”自殺。
その多さに最近は新聞も報道しなくなったのか、あまり紙面に出なくなったのか? 問題がなくなったわけではない。
一方で政治家の不正が過去に挙げられ、北海道では、自民党を出て新党大地を結成した鈴木宗男衆院議員の不正受託収賄、政治資金規正法違反などによる議員失職(平成22年9月)があった。また、民主党でも同年6月、小林千代美衆院議員(北海道5区)が、自身の選挙対策委員会の資金管理責任者による北教祖(日教組系)からの1600万円の政治資金受領に有罪判決が出たのを受けて議員を辞職した。
鈴木宗男元議員は当時62歳、小林千代美元議員は当時41歳。ともに保守と革新系の違いはあるが、働き盛りの議員だったと言えよう。
教育だけでなく、日本の政治の世界も異常になってきたかと、少々疑念が湧く。
かつての日本の政治家は、国を憂い、人を想い、自らを犠牲にして立ち上がった。
そのために政治家になれば、最後は自分の全財産をつぎ込み、井戸と塀しか残らないので、「井戸塀」と呼ばれた、と聞いたことがある。
ところが今は誰もが政治家になりたがる。
それは命がけで国のために行動するのか、というと、どうもそうではないらしい。
ある日のテレビで初当選した若い男性議員(参院議員)が、数日しか議席に着いていないのに、何と、給料袋の札束を数えたら200万円を超えていた。そのびっくり仰天の顔がテレビに映し出され、見た人たちは驚いただろう。
しかし、金欲に群がるのは、国家の行方より我が身の懐を考えたくなる凡俗な人物と見られても仕方がない。
給料10カ月分の米教師
かつて1カ月近くUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に席を置き、米国の教育視察をしたことがある。
すでに教員組合は解散し、共産党の政治活動は非合法化され、キリスト教国として信仰を背景に人々は日常生活を営み、7、8月はバカンスだった。この時期、公立学校は授業はないと聞いていたのが、間違いだったとわかった。
私は急いで校長室に出向き、校長先生に訊(たず)ねた。「今教えている先生は何ですか」と。
男性校長は答えてくれた。
「パブリックスクールの先生方は10カ月の給料です。この2カ月(7、8月)の教師たちは、バイトの教師たちです」
つまり働いている月数だけ給料が支払われる。
続けて校長は微笑(ほほえ)みながら話した。「アメリカは、管理職と一般教師は違います。この2カ月で一般教師も管理職を望む者は、講習を受け、勉強して管理職の資格を取るのです」。
私たちの宿泊所となったUCLAの学生寮は、ホテル並みに美しく整頓されていた。その清潔さに驚いて、「これは誰が清掃したのですか」と訊くと、「学生たちです」と聞いて二度びっくり。「見ると聞くとは大違い」の米国体験だった。