失敗する対北朝鮮投資 経済と核並進で貧困加速

最もリスクが高い相手

 北朝鮮は去年から経済の発展と核開発を並行推進するという計画のもとで、経済特区を大幅に増加させてきた。経済・観光特区事業育成のため羅津と黄金坪、元山地域等の開発特区に加え、昨年「経済開発区法」が制定され13カ所の経済開発区が発表された。さらに羅津と新義州、康[令羽]郡を含む経済特区と13の経済開発区、そして3つの観光特区も指定された。

 北朝鮮は経済開発のため、貿易と外国投資を大幅に増やすという計画をもとに傘下機関にこれを督励している。しかし、北朝鮮の過去の貿易事例と外国投資の北朝鮮に対する信頼の失墜で外資誘致と投資は難しいと見込まれている。その理由は様々だ。

 第一、北朝鮮は外国企業を相手にする貿易取引及び投資誘致のプロセスの過程で常習的に契約履行に違反してきた。輸入商品に対する代金支払いの延滞と輸出商品の納期遅れも日常茶飯事で、不当な利益を狙った不良品輸出も相当な金額に上る。

 一例に、中国のある貿易企業は100万㌦相当の物資を輸出したが、北朝鮮の貿易会社が代金の支払いを遅延したため、莫大な損害を被った。

 中国の別の企業は北朝鮮から20万㌦相当の鉄鉱石を導入したが、これが不良品であることが判明し、現在北朝鮮の貿易会社に物品回収及び賠償金の支払いを要求している。

 第二に、北朝鮮は投資事業の過程でも外国人投資家たちに大変な不利益を与えている。例えば、北朝鮮の多数の合弁、合作企業は海外パートナーへの収益金配当を忌避したり、生産品を任意に処分するなど一方的に契約を破棄することで莫大な損失を被らせている。

 外国企業はこのような投資紛争をこれまで表に出さず非公開に解決してきたが、最近その被害規模に耐えられず訴訟するなど強力な対応を取るに至った。

 2012年8月、中国の西洋グループが北朝鮮の資産没収横暴の事実を公開して以来、一部の対朝事業家たちは北朝鮮との関係断絶を覚悟の上で、メディア暴露を警告するなど強力に対応している。  中国のある海運会社は北朝鮮貿易会社の船舶傭船(チャーター)費用の未払いで大きな損害を被った。

 第三に、エジプトのオラスコム社も配当金の送金が制限されたことで事業拡大が困難だとし、配当金が回収されるまで柳京ホテルに対する追加投資を中止することにした。  北朝鮮はオラスコム社と共同で設立した口座から一方的に資金を引き出し、無関税契約なのにも関わらず、関税を付加するなど信頼できない行動を取り続けている。

 以上のような外国企業の北朝鮮に対する投資不信の拡散で、中国政府と海外有力者らは北朝鮮への投資を積極的に引き止めている。中国の対朝経済協力主務部署(省庁)までもが自国の企業に対し北朝鮮への投資の進行速度を調節させたり、投資保留を勧めているのだ。

 最近、北朝鮮に駐在する中国公館員たちは貿易の紛争が起きる度に、「北朝鮮はどうしようもないところ」と口を揃えながら中国企業の対朝投資を引き止めているという。

 一方、中国の民間コンサルティング企業と有力者、主要メディアも対朝投資の危険性を警告した。その一つとして、中国の「東方早報」は2013年1月、北朝鮮への投資リスクは非常に大きいので、中国企業がリスクを考慮せず商売だけを重視する金儲け狙いの合作は警戒しなければならないと警告した。

 第四、経済協力開発機構(OECD)などの国際機構と経済研究所なども、北朝鮮を投資リスクの高い国だと指摘し投資を警戒している。OECDとアメリカの投資リスク分析専門企業であるRPS( Political Risk Service)社は投資対象国として北朝鮮を最下位国と評価した。

 また、2013年10月、OECDは北朝鮮を投資リスク8段階のうち最も高い7段階に分類した。PRS社は同年4月、カントリーリスク度測定結果を発表したが、経済改革、政策透明性、資本流入、政治的安定性と発展性などの面で北朝鮮を140カ国のうち133番目と位置づけた。

 アメリカのピーターソン国際経済研究所のノーランド先任研究員は2011年8月、中国企業303社を対象にしたアンケートの結果、ほとんどの中国企業が北朝鮮に対して不信を抱いており、信用取引を避けていると発表した。

 第五に、張成沢処刑以降、北朝鮮への投資はリスクが高いという世論が海外メディアとSNSを通じて拡散し、中国企業は一部の対朝事業を取り下げている。  最近、中国国内にいる北朝鮮商社員及び駐在員たちによると張成沢事件以来、多くの中国企業が対朝取引を拒んでいるので、対朝事業の不振は避けられないという。

 第六、北朝鮮には中国の鄧小平のような思想解放に対する信念を持つ本格的な改革開放リーダーがいなければ市場経済専門家もいない。過去20年間「特区開発」は北朝鮮経済官僚の墓場だったと言っても過言ではない。

 1991年、羅先特区を総括していたキム・ジョンウ対外経済協力推進委員長(閣僚級)は市場経済持論のため行方不明になり、後任のキム・ムンソン貿易省次官は汚職疑惑で銃殺された。

 代表的経済官僚だった金達玄副総理は1992年のソウル訪問後「開放」に言及したことで排斥され、自殺したと伝えられる。

 第七、北朝鮮と韓国の関係が今年になってからさらに悪化したことも海外企業が対朝投資に踏み出さない理由だ。北朝鮮はすでに核実験を行ったことで国連と韓国(5・24制裁)などから全面的に制裁されているが、最近、再び第4次核実験で脅かしたり、無人機を韓国大統領府の上空まで侵入させ、朝鮮半島の緊張を高めている。

 このような状況の中、外国企業の北朝鮮に対する経済特区投資と貿易は危険で愚かな行動だとしか言いようがない。

 第八、外国人拉致とテロが絶えない北朝鮮では外国企業人たちの身元の安全も保障されない。現在、日本と北朝鮮との間で日本人拉致問題についての交渉が続いているが、核開発とミサイル発射など攻撃的な態度を止めない限り、根本的な解決策は出てこないだろう。

 北朝鮮は2008年、韓国人観光客の朴王子さんを殺害したことに対して、公式な謝罪をしていない上に、再発防止措置すら施していない。さらに北朝鮮は2011年、韓国政府と現代峨山が投資した施設全てを没収した。

 北朝鮮は何の罪もない外部人の命を奪ったり、投資企業の財産まで没収する不法な行為を平気で犯してきた。外国企業が韓国企業のようにあらゆる危険を押し切って対朝投資に踏み出すと思うのは大きな勘違いだ。

 北朝鮮が真剣に経済開発を望むのであれば、まず核兵器とミサイルなどの大量破壊兵器を廃棄し、すでに打ち出されている合意事項を遵守することで、国際社会から信頼を取り戻す必要がある。

 このような条件が満たされない限り、北朝鮮が外国投資企業の墓場になってしまうことは言うまでもなく明らかだ。従って、経済発展と核兵器の並進政策は北朝鮮の貧困を加速させ国家的貧困の解消はますます厳しくさせるだろう。