激戦制し沖尚が甲子園切符


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 夏の高校野球の沖縄大会決勝戦は歴史に残る激戦となった。共に甲子園常連の沖縄尚学と興南の好カード。4時間近い勝負は最初から最後まで手に汗握る展開だった。沖縄球史に残り、語り継がれるだろう。

 決勝での直接対決は意外にも20年ぶりという。今回、興南は第1シードで3連覇が懸かっていた。絶対的エース宮城大弥を擁する興南の前評判は高かった。

 試合は延長戦に入り、両チームは12回に2点を取り、得点は7-7。安打数も11ずつと同じ。13回の表、宮城が制球を乱し、押し出しの四球を与えて万事休すだった。

 興南はこれまで宮城がほぼ一人で投げ抜き、この日も延長になっても交代する気配はなかった。延長10回にはこの日の最速147㌔を記録し、ピンチを切り抜けたが、12回につかまり、13回には球数が200球を超え、疲労が限界に達していた。

 全国制覇を経験した両監督の采配も注目された。「宮城と心中」の気持ちで戦った名将・我喜屋優監督。これと好対照だったのが、自身が甲子園でエースとして優勝を経験した沖尚・比嘉公也監督だった。

 準決勝で7回コールド勝ちで完封した比嘉を温存し、エースナンバーをつけた仲村渠を先発に起用。四球で乱れ、甘く入ったボールを痛打されると、3回途中で2年生の永山にスイッチ。彼が延長11回まで自責点ゼロと好投したが、12回につかまり、サヨナラ負けのピンチを迎えると、比嘉に継投。それがぴたりとはまった。

 少子化などの影響で全国的に野球人口が減っているが、沖縄ではここ数年、私立2校が野球部を新設した。こうした中、沖尚と興南が伝統校のプライドを見せつける決勝戦でもあった。結果は、沖尚が5年ぶり9度目の夏の甲子園出場となった。

(T)