増える“仲井真節”のファン


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 保守系の会合で仲井真弘多前知事の登場する機会が多くなっている。10日の自民党沖縄県連「新春の集い」では乾杯のあいさつをし、翁長雄志知事について「ハーメルンの笛吹き男をほうふつとさせるようで、県民をどこに連れて行こうとしているのか意味不明だ」と批判した。

 「ハーメルンの笛吹き男」の話は、ドイツの町ハーメルンにおいて1284年に起きたとされる出来事についての伝承である。ネズミが大繁殖して悩まされていたハーメルンの町で男が笛を吹くことでネズミを集め、退治した。ところが、町民が男に報酬を払わなかったため町に再び男が現れ、笛を吹いた。ついて来た子供たちと共に穴に入り、二度と出てこなかったという結末だ。

 仲井真氏は「基地問題一つ取っても何も解決できない」と指摘。その上で、「自民党県連を中心に保守勢力が一大結集し、新しい沖縄創造のためにビッグバンを起こそう」と呼び掛けた。

 「大勢の前であいさつすると元気が出る」とも語った仲井真氏は2014年の知事選後、しばらく公的な場に姿を見せなかったが、1年ほど前から大きな集会でよく登壇するようになった。忘年会、新年会、政治パーティーなどでは数多くの弁士が登場するが、保守系で最も盛り上がるのは仲井真氏であることは自他共に認めるところだ。

 話の中身は、現知事に対する皮肉が多く、「現役時代を凌駕(りょうが)する切れ味がある」との評価も。

 雑誌インタビューでは、翁長氏が「知事の仕事の約8割、9割は基地問題」と公言していることなどを根拠に、「この人物は意味不明です。ただ反対と叫ぶだけでは活動家のようなものではないですか」と厳しい言葉を並べる。“仲井真節”のファンは増えているようだ。

(T)