琉球新報社説に弁護士会が批判
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
報道の被告批判はどこまで許されるのか。1年半前、沖縄県うるま市の女性会社員(当時20)を殺害したとして、殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪に問われた元米軍属のケネフ・シンザト被告(33)の裁判員裁判で、琉球新報が被告の黙秘権行使を批判する社説を展開し、沖縄弁護士会から反論された。
16日、那覇地裁で行われた第1回公判では、被告は黙秘。24日に結審し、検察は無期懲役を求刑した。12月1日に判決が下される。
初公判の翌日の17日の琉球新報の社説について、沖縄弁護士会は照屋兼一会長名で内容の再検討などを求める談話を発表した。問題の社説は、被告が黙秘したことに「権利とはいえ、黙秘権行使は許し難い」とし、「遺族が納得する判決を期待したい」という内容だった。
照屋氏はこう指摘する。
「新聞社が社の意見として、第1審係属中の段階で、被告人が憲法及び刑事訴訟法上認められた正当な権利である黙秘権を行使したこと自体を上記のように厳しく論難し、そればかりか、証拠関係に基づかずに、裁判所・裁判員に対して一定の方向性を持った判決を期待する旨表明することは、刑事被告人の黙秘権及び公平な裁判を受ける権利を軽視し、また、これから評議・判決に臨む裁判員に対して影響を及ぼすことも懸念されるところである」
社説内容についてはSNS上で、「日本国憲法が理解できないのか」「日ごろから『人権』を主張する新聞が、被告には人権がないような書き方をするのはダブルスタンダード」など、全国から辛辣な批判が集まっている。
琉球新報社は「被告の黙秘権を否定はしないが、被告は全てを話すべきだとの主張に問題はないと考える」とコメントしている。
(T)