わが家の耐震設計は…


地球だより

 先日、南東部の浦項市で発生したマグニチュード5・4の地震は建物損傷など多数の被害を出し、韓国人の地震に対する危機意識を呼び起こしたようだ。特に昨年、すぐ南側の慶州市で観測史上最大の5・8の地震が起きたばかりだったため、これまでの「韓国は地震安全地帯」という固定概念が崩れ去った。よく韓国の友人たちから「日本はあんなに地震が多くて暮らせるのか」と言われたものだが、人の心配をする余裕もなくなった。

 建物損傷のうち目を引いたのは「ビラ」と呼ばれる4、5階建て集合住宅を支える数本の柱が痛々しくねじ曲がった光景だった。2000年代に入って都市部のひどい路駐を解消するためビラには車庫併設が義務化され、1階部分を空洞にして駐車場スペースを確保。結果、建物全体を1階の細い数本の柱で支える構造になった。記者もこのタイプのビラに4年ほど住んだが、素人目にも「こんな柱だけで大丈夫なのか」と不安に駆られた。

 韓国では建造物の耐震設計をめぐって諸説ある。比較的古いレンガ造りのビラは危ない、高層マンションでも大手施工なら安心、全国の耐震対象民間建築物は2割しか耐震設計がなされていない…等々。しかし、実のところ実態はあいまいだ。最も怖いのは密かに手抜き工事があったケースとの指摘まで上がっている。さぞかし心配になったのだろう、「わが家の耐震設計照会サービス」なるサイトはアクセスが殺到し一時ダウンしたという。

(U)