「津波サミット」で高校生が討議
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
11月7日と8日、沖縄県宜野湾市で「世界津波の日」高校生島サミット開催され、26カ国の高校生約250人が参加した。
サミットの前日、島嶼(とうしょ)国の高校生らは、石垣島と宮古島での津波石(過去の大津波で打ち上げられた岩塊)を視察するスタディーツアーに参加した。また、開会式前には、海外高校生を招いて宜野湾市で津波避難訓練があり、近隣住民を含む約900人が宜野湾高校から近くの高台公園までを歩いた。外国から参加した高校生は、規律ある集団行動に驚いている様子だった。
サミットでは、日本の津波の歴史や防災・減災の取り組みを学んだ後、津波の課題や自国での取り組みについて総会で発表した。岩手県の釜石高校は、2011年3月の東日本大震災の津波被害の経験から、津波被害を防ぐハザードマップを作製したことを報告した。
県内からも7校が参加。そのうち、美来工科高校は発災後に避難先を案内するスマートフォンのアプリの導入を提案した。問題点としてコストや使用法を挙げ、「誰でも使いやすいアプリ開発をしたい」と意欲を示した。これ以外にも、万が一の際には会員制交流サイト(SNS)も活用するのが望ましいという若者らしい意見が多く出た。
政府関係者は、「このサミットを通じて高校生たちが将来、地震や津波の影響を最小化し、各国各地で防災・減災分野における主導的な役割を担う将来のリーダーとして活躍することを期待したい」と話した。
津波サミットは、津波に関する人々の意識向上と津波対策の強化を目的に日本を含む142カ国が共同提案した「世界津波の日」を定める決議が15年12月の第70回国連総会本会議で全会一致で採択されたことを受け、昨年から実施されている。
(T)