山城被告の国連演説は可能か
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
反基地活動家の山城博治被告が6月下旬、スイス・ジュネーブの国連人権理事会で「不当弾圧」を訴える。沖縄県内の“人権研究者”でつくる沖縄国際人権法研究会(共同代表=島袋純、星野英一両琉球大教授)が記者会見で明らかにした。
山城被告は、沖縄の左翼系労組・政党などと関係の深い平和運動センター議長。普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設や北部訓練場(東村、国頭村)返還に伴うヘリパッド移設の反対運動で、公務執行妨害、傷害罪、威力業務妨害罪に問われて、5カ月間、名護署に拘留された。現在は保釈中の身だ。容疑の理由を考えれば、「弾圧」でもなければ、「不当」でもないのは明らかだ。
記者会見で山城被告は「沖縄で基地建設に抵抗するという表現の自由が、政府の無慈悲で暴力的な行為で抑圧されている実態を訴えたい」と述べた。口調こそ違うものの、そのレトリックは辺野古移設に反対する翁長雄志知事と重なって見える。
山城被告は、国連人権理事会でデービッド・ケイ国連特別報告者が、日本に関する調査報告を出すのに合わせて登壇し、2分間スピーチすることが予定されている。ケイ氏は、昨年4月に来日し、表現の自由をめぐる調査を行っている。
国連人権理事会といえば、2015年9月に翁長知事がスピーチし、沖縄に米軍基地が集中していることについて「自己決定権や人権をないがしろにされている」と述べ、「あらゆる手段で新基地建設を止める」と訴えた場所だ。その後、日本政府の代表や米軍基地を容認する名護市出身の女性に反論され、メンツをつぶされていた。
研究会は、国連の日程が決まれば那覇地裁に山城被告の海外渡航許可を申請するという。地裁の良識的判断に期待したい。
(T)