高校球児が政治集会の犠牲に


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 19日に那覇市の奥武山陸上競技場で革新系の政治集会が開かれるため、隣接する沖縄セルラースタジアム那覇で予定されていた全国高校野球選手権大会沖縄大会の会場が変更された問題が波紋を広げている。

 元米兵の米国男性が女性を殺害遺棄した事件が起きたことで、革新系政党・労組などで構成される「オール沖縄県民会議」が大規模な集会を開催することを計画した。

 19日は遺体発見から1カ月後に当たり、参院選公示3日前というタイミングで行われる。

 大会の正式名称は、「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」で、米軍基地を容認する自民、公明、おおさか維新などは参加に難色を示している。

 そもそも、スポーツ施設が政治集会の開催地としてふさわしいのか、県内では疑問の声が上がっている。高校野球の県予選は18日からセルラースタジアムを中心に沖縄本島4会場で開催されるが、「県民会議」は高校野球開催を知りつつ、スタジアムの隣で大会を計画した。

 県高野連は、大会の影響による混乱を避けるため、この日の試合を別会場に振り分けることを余儀なくされた。

 石垣市議会は7日の定例会で、当初予定の通り沖縄セルラースタジアムで開催するよう要請する決議を与党の賛成多数で可決した。離島から参加する高校生は那覇から離れた場所での試合になると、移動時間、交通費、宿泊費などの負担が増えることが懸念される。

 豊見城市の宜保晴毅市長は、代替地として同市の豊崎海浜公園を提案した。大会実行委員会の賢明な判断が待たれる。(T)