意義大きい7ヘクタール返還


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 日米両政府はこのほど、キャンプ・キンザー(浦添市)と普天間飛行場(宜野湾市)の一部を返還することで合意した。

 返還されるのは普天間飛行場の東側フェンス沿いの約4ヘクタールとキンザーの国道58号隣接地の約3ヘクタール。道路建設が目的の返還だ。

 沖縄本島中南部の渋滞は首都圏と並び全国最悪レベル。中でも幹線道路である国道55号と330号の渋滞は際立ってひどい。バス専用レーンがある朝夕の時間帯の58号はのろのろ運転が続き、自転車の方が早い。

 一方、普天間飛行場の周囲にドーナツ型に市街地が形成された宜野湾市は、市役所がある東側から西海岸方面に向かうには大回りしなければならない。特に東側の330号沿いは2車線しかない上、右折レーンがないため、車の流れが悪い。

 4㌶が返還されれば、約20年間滞っていた市道11号の建設が可能になる。330号のバイパスの役割を果たすものと期待される道路で、宜野湾市民の悲願でもある。

 当然ながら、佐喜真淳宜野湾市長と松本哲治浦添市長は共に合意を評価し、両政府に対して感謝の意を示した。

 7㌶の返還について、翁長雄志知事は「辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐり裁判で争っている中、強い憤りを感じる」とコメントした。「沖縄の基地のわずか0・03%の返還にすぎない。話くわっちー(「ごちそう」の意)ばかりだ」と事実の矮小(わいしょう)化に必死だ。

 合計7㌶かもしれないが、東京でいえば銀座にも相当するぐらい利用価値、経済効果の高い場所が返還される。渋滞が解消されれば、県民や観光客のストレスは解消され、利便性も格段に良くなる。翁長知事は両政府の英断に素直に感謝すべきだ。(T)