全国最下位続く沖縄の中学生の学力


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 文部科学省はこのほど、小学6年生と中学3年生を対象に今年4月に実施した全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の結果を発表した。沖縄の小学校は国語A・B、算数A・B、理科の5科目の平均正答率が昨年の24位から20位に上昇した。

 沖縄県の小学生は調査が始まった2007年以来、しばらく最下位が続いたことを問題視した県教育委員会は「最優先すべき課題」として学力向上に取り組んだ。

 県教委としては小学校で結果が出たことに安堵しているが、手放しで喜べない状況にあることは変わりない。学力向上の方法は、多くの学校の場合、その場しのぎのテスト対策の域を出ていない、とみられる。

 沖縄本島中部のある小学校では校内に「目指せ県内1位」と貼り紙をするほどの熱の入れよう。学力テストは新年度が始まってすぐに行われるため、5年生からそのままクラスを持ち上がりにしている学校もある。5年生の後半からテスト対策を行い、6年の4月に行われるテストに照準を合わせている。

 学習塾や予備校のような指導法やスローガンを小学校に取り入れることに、父母から反発や不満が漏れ伝わる。学力テストを意識し過ぎた結果、教科書を最後まで教えることができなかったというケースも報告されている。

 本物の学力が問われるのは中学生だ。今年も全科目(国語A・B、数学A・B、理科)で最下位に沈んだ。全国平均に少しずつ近づいてきたとはいえ、2007年度以来、最下位が続いている状況は変わらない。

 現在の小学6年が中学3年になる3年後、20位台になってこそ、本物の学力がついたことを証明できる。(T)