八重山の公民教科書に育鵬社
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
次年度に中学校で使用する教科書選定で、石垣市と与那国町でつくる教科用図書八重山採択地区協議会はこのほど、公民教科書に育鵬社版を採用することを決めた。
採決の結果、公民は全会一致で育鵬社が選ばれた。2011年に続いて2回目となる。育鵬社は国防、領土問題、憲法改正で記述が多いのが特徴。絶えず中国による領海・領空侵犯におびやかされる尖閣諸島を有する石垣市、台湾に近い与那国島のように、国境に接する八重山地方としては当然の結果と言える。
元教師の石垣朝子教育長は昨年12月、玉津博克氏の後任として選出された。前回の採択では、教育に対する信念を持ち正義感が強い玉津氏のリーダーシップにより、教員の意向が強く反映される採択方式を大幅に変更、今回もその流れを汲む結果となった。
歴史は、帝国書院が4票で育鵬社を1票上回った。歴史でも保守系の教科書が選ばれるとなると、4年前の事態を招きかねず、時期尚早という政治的配慮がなされたとみられる。
前回の教科書選定では、革新系労組やマスコミが激しく抗議・妨害し、冷静に話し合う環境が確保されなかった経緯がある。そのため、今回は静かな環境で協議することを目的に、協議会の日時と場所は非公開となった。
関係者によると、協議会は休館中の石垣市立図書館の会議室で開かれ、教育長や教育委員、保護者代表、学識経験者から成る8人の委員が出席した。
前回まで同一地区だった竹富町教委は石垣市、与那国町と対立し、昨年4月、町単独の採択地区に移行した。今回の採択が大きな混乱なくスムーズに行われた要因でもある。(T)