「復帰の日」と翁長知事


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄の本土復帰の日に当たる15日、翁長雄志(おながたけし)知事は県庁で定例会見を開き、沖縄の心について力説した。復帰の日を迎えた心境について、「本土並みを合言葉に、県民の努力で勝ち取った復帰だったが、真の民主主義の実現など県民が強く望んできた形にはなっていない」と主張した。

 沖縄の本土復帰に関しては、保守系の西銘順治元知事が「ヤマトゥンチュ(大和人)になりたくてなりきれない心」と表現したことは有名だ。「沖縄の心」について問われた翁長知事は、2013年の米軍のオスプレイ配備撤回を求める「建白書」が東京要請行動で一顧だにされず「私たちが本土の側に近づこうとしても、寄せ付けないのではないかと感じるところがあった」と述べた。

 さらに全国世論調査で辺野古移設反対が賛成を上回る結果が出ていることに触れ、「本土と沖縄の絆をつくり上げられるか大事なところだ」と述べた。

 復帰の日にあわせた反基地デモ行進には全国から革新系労組を中心に集まった。また、17日に那覇市の野球場で開かれた辺野古移設に反対する大会は「県民大会」と銘打ちながらも実質、革新陣営の全国大会だった。翁長知事が言う本土との“絆”とはこうしたものなのだろうか。

 今月下旬、翁長知事は稲嶺進名護市長、城間幹子那覇市長ら革新系首長らを引き連れてハワイ経由でワシントンを訪問、辺野古移設に反対の意志を示す。

 先月からの安倍晋三首相をはじめとする政府高官との会談では、安全保障政策や抑止力の考え方の根本的な違いが明確になった。沖縄がどんどん国と離れてしまわないか、心配は募るばかりだ。(T)