自衛隊配備準備中の住民投票


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 陸上自衛隊の監視部隊の配備計画が進められている日本最西端の与那国島で、配備の賛否を問う住民投票が22日に行われる.

陸自監視部隊の与那国配備計画は、中国公船などによる沖縄近海の活動活発化を警戒して政府が南西諸島の防衛体制を強化するためのもの。島の南側では昨年4月以来配備に向けた造成工事が進められ、来年3月までには150人規模の陸上監視部隊が配備される予定だ.

ところが、昨年9月に行われた町議会選で野党が1議席増やし与党系議員が議長の座に就いたため、与野党が同数となった。野党が住民投票実施の条例案を提出、外間守吉町長が受け入れ、住民投票の実施が決まった.

住民投票は、中学生以上の未成年および永住外国人にも投票権を与えており、投票資格者は1284人で、中高生は60人、外国人は10人程度いるという.

推進派は先月末に「自衛隊配備に賛成する会」を設立。与那国防衛協会の金城信浩会長を中心に、周知ビラを配布している。それによると、陸上駐屯地の町有地賃貸料を財源に、給食費無料化が実現するほか、経済が活性化し、人口減少に歯止めが掛かる。さらに、緊急時における安心など自衛隊誘致の公益性を訴えている.

これに対し「自衛隊が来たら米軍もやって来る」などのスローガンを掲げる反対派は、沿岸監視レーダーによる健康被害の危険性などを訴えている。自衛隊誘致賛成の外間町長は、地元紙に対し、「勝算がある」と強気の発言をしている。

 投票結果に法的拘束力はない。中谷元(げん)防衛相は13日の記者会見で、「わが国周辺の安全保障環境を考えると部隊配置は必要だ。現時点では予定通り進めたい」との姿勢だ。(T)