那覇市で「日本の建国を奉祝する沖縄県民の集い」
政府と沖縄県が主催で奉祝行事を
建国記念の日の11日、那覇市で「日本の建国を奉祝する沖縄県民の集い」(日本会議沖縄県本部主催)が開催された。沖縄県で17回目の開催となる今回は約500人(主催者発表)に上る過去最多の参加者が集い、政府および県主催の奉祝行事の実施と誇りある豊かな日本の建設のために憲法を改正することを求めた。(那覇支局・豊田 剛)
日本の伝統・文化に基づく憲法求める
「日本の建国を奉祝する沖縄県民の集い」は第1部では奉祝式典が行われ、国歌斉唱、神武天皇即位建都の大詔(たいしょう)奉読、御製奉唱を通じて厳かに皇紀2675年目を祝った。
来賓を代表して、宮崎政久衆院議員があいさつ。宮崎議員は皇紀や建国記念の日について知らない若者が多い現実を憂えた上で、「伝統ある歴史を継承していくのが今を生きる者の責任だ」と建国記念の日奉祝の周知と行事の重要性を強調。また、昭和21年の帝国議会における憲法制定のための議会には沖縄の代表が参加していなかったことを指摘、「沖縄県民を含めてすべての国民が参加して憲法を制定すべきだ」と主張した。
第2部は「美しい日本の国づくり―沖縄の平和を守るため憲法改正を」と題して日本大学法学部の百地(ももち)章教授が記念講演した。それに先立ち、主催者を代表して、中地昌平会長があいさつした。
「今年は大東亜戦争終結から70年の節目を迎えるが、連合国軍総司令部(GHQ)による占領政策によって、多くの国民は日本の建国や神武天皇が示された理想を知る機会を奪われた。国の基本である憲法ですら占領国が1週間程度で作ったものを一度も改正せず使っている。いまだに日本国は占領体制の中にいると言っても過言ではない」
こう述べた中地会長は、北朝鮮による拉致問題、イスラム過激派集団によるテロおよび日本人殺害、中国やロシアの覇権主義などに触れ、「アメリカが作成した日本国憲法は、神武天皇の祈りに著しく反した非人道的なものであると考えざるを得ない」と強調した。
続いて登壇した百地教授は、憲法にテロや大地震など緊急事態を想定した条文がないのが最大の欠陥だと指摘。「憲法改正に前向きな安倍晋三政権の今が改憲の最大のチャンスで、沖縄から声を上げていこう」と呼び掛けた。
集いは最後に、「『憲法改正の国民投票』に向け、賛同者の輪を強力に推し進めていくべく国民運動を展開しなければならない」とした上で、「政府及び沖縄県主催による奉祝行事の実施を強く求めるとともに、我が国の伝統・文化に基づく憲法改正を実現し、誇りある豊かな日本の建設に向けてまい進することを誓う」という趣旨の決議を全会一致で採択。万歳三唱で幕を閉じた。
那覇市から参加した30代の女性は、「例年にない活気。これも翁長(おなが)県政が誕生したことによる危機感の表れではないか」と話した。
集会では翁長雄志知事の祝電が読み上げられると、会場は一時騒然とした。「拍手がまばらで場違いだと思った」と宜野湾市出身の70代の男性は印象を語った。
なお、同日、那覇市の別の会場で「建国記念の日に反対する沖縄集会」が開催されたが、参加者は約90人程度にとどまり、県民の反体制運動への関心の低さが露呈する結果となった。
百地章・日本大学教授の講演要旨
緊急事態規定がない現行憲法
日本国憲法は世界188カ国のうち14番目に古い。70年間、一度も改正されたことがない。車検に一度も出さず、修理もしていない車に例えることができる。同じ第2次大戦敗戦国のドイツではこれまで59回も憲法改正されている。日本世論調査会が昨年6月に調査した結果、「憲法の改正の必要がある」との回答は56%に達した。
最大の欠陥は緊急事態規定が存在しないこと。イスラム過激派集団ISILなどによるテロ、首都直下型大地震など大規模災害が発生した場合どうなるのか。平時と緊急時の二つのルールが必要だ。
現行憲法は、連合国の占領下にあってGHQ(連合国軍総司令部)が日本を弱体化し無力化するために強制したもの。非武力規定を見直さなければ、日本は精神的にも立ち直れない。
早期に改正すべきは憲法の前文と9条2項だ。前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあるが、日本周辺のどこに平和愛好国があるのか。また、天皇を「君主」「元首」と明記すべきだ。
9条2項を改正して自衛隊を「軍隊」としなければ他国の侵略を阻止できない。戦争を起こさせない抑止力となるのが軍隊だ。
日本国憲法は世界で1、2位を争うほど改正条件が厳しい。国会で衆院議員の3分の2が賛成しても参院の3分の1が反対したら改正の発議ができない。このため、来年の参議院選が焦点になる。
さらに、沖縄県民は現憲法の制定に関与していない。憲法に沖縄県民の声を反映させるためにも、速やかに憲法改正すべきだ。