大きい仲井真知事の業績


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 仲井真弘多氏は9日、知事として2期8年間の任期を満了し退任した。

 退任の4日前にあたる12日、仲井真氏は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事に向け沖縄防衛局が申請した3件の工法変更のうち、2件を承認した。工事用仮設道路の追加及び埋め立て地を仕切る護岸を新設するという内容だ。

 これに対して移設反対派や地元紙は「(印鑑の)押し逃げは許さない」「民意に反する」と激しく抗議している。

 工法変更の承認は政治判断ではなく行政手続き。法律の基準に適合している場合、翁長知事であっても承認しなければならず、違反する場合は具体的な説明が必要になる。何の判断もしないで任期を終えれば、「職務怠慢」とも批判されよう。

 普天間の1日も早い危険性除去というSACO合意の原点にたちかえってみれば、辺野古移設への道筋を整えたことは偉業だ。

 基地問題以外にも、沖縄振興に果たした仲井真氏の功績は枚挙に暇がない。

 平成26年度の県予算は過去最高の7千億円台に到達。同33年度までの沖縄振興予算を毎年約3千億円確保した。市町村が自由に使える一括交付金が同24年から支給された。

 雇用情勢も明るい。過去1年間の完全失業者は4%台で推移し、全国との差は大幅に縮まり、有効求人倍率も復帰後最高を記録した。

 教育面では、全国学力テストで小学生の平均正答率で最下位から全国24位に浮上した。

 基地問題、経済、教育など、各方面における「流れを止めるな」との思いから、75歳という高齢ながらも体に鞭打って3選を目指した仲井真氏だった。

 地元のマスコミを完全に敵に回してでも信念を貫く姿に共感する人は多かったに違いない。県民を代表して「8年間、お疲れ様でした」と言いたい。(T)