観光討論会に翁長氏欠席


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 「沖縄観光の未来を考える会」(新垣安男代表理事)は21日夜、那覇市内のホテルで沖縄県知事選立候補予定者を招いた。ところが前那覇市長の翁長雄志(おながたけし)氏だけは、「観光政策がまとまっていない」ことを理由に欠席。

 現知事の仲井真弘多(ひろかず)氏は「国際競争力に対抗できるようになるには大きなインフラが必要」とし、那覇空港の第2滑走路拡張と国際クルーズ船バース、2万人規模の大型国際会議場の整備の推進。県が掲げる2021年度の観光客数1000万人、観光収入1兆円の目標は「7、8年先に達成できる」と自信を示した。南北鉄軌道の導入も不可欠だと強調した。

 元郵政民営化担当相の下地幹郎氏は、観光が沖縄のリーディング産業であるとの認識が必要とした上で、「農業などの産業も観光に感謝できる構造に変えていくべきだ」と訴えた。石垣島と宮古島以外の離島観光が伸び悩んでいる原因について下地氏は、「航空・船舶運賃だ」と指摘、近隣離島への運賃を上限500円にしていくという抜本的な提案をした。

 元参院議員の喜納昌吉(きなしょうきち)氏は、「観光産業のほとんどの資本が外資系に牛耳られている」と指摘、「観光客が増えても社会の底辺層までが恩恵を受けられるようにしないと意味がない」と観光産業の構造的変革の重要性を訴えた。

 「すべての武器を楽器に」を信念とする喜納氏は、那覇空港に隣接する自衛隊と米軍施設について観光都市には似合わないという主張を展開した。

 一方、前那覇市長の翁長雄志氏が欠席した本当の理由は、気に入らない団体が主催したためとの見方が大方だ。関係者は「知事候補者としての資質が問われる」と残念がった。(T)