3月4日は「三線の日」、8日は「三板の日」


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 3月4日は「三線(さんしん)の日」。沖縄を代表する楽器、三線の普及を目的に、県と地元放送局が1993年に制定した。大人数で一斉に三線を演奏するイベントが有名だ。この欄で何度か紹介したことがあるので、ご存じの読者も多いと思う。

三線(沖縄)

三線(沖縄)

 その4日後の3月8日は何の日かご存じだろうか。「三板の日」だ。「さんば」と読むことから、語呂合わせでこの日に制定された。

 これも、三線と並んで代表的な琉球楽器の一つ。文字通り縦10㌢、横5㌢ほどの3枚の板を使う。各板の端に空けた二つの穴に紐(ひも)を通して結んだものだ。一般的に、左手の人差し指と中指を板の間に入れて持ち、右手の指や左手の親指で打つ打楽器だ。

 音色はカスタネットに近く、上級者は片手だけで鳴らすことができる。三線と合同で演奏すれば音楽に厚みが出る。

 三板の普及に取り組む沖縄三板協会(旧日本三板協会)は例年、この日にコンサートや講習会などのイベントを開催してきたが、2年前の2月下旬から沖縄をコロナ禍が襲い、3年連続の中止を余儀なくされた。昨年はインターネット上で、13人の演者が三板を演奏する動画を公開し、この日を祝った。

 そのルーツは中国楽器で2枚の長い板で構成される「拍板(はくばん)」、そして、そこから進化した中国の「三板(サンバン)」だと言われている。

 三線と比べて知名度でも普及率でも劣る三板だが、とても取っ付きやすい楽器だ。コツをつかめば誰でもすぐに覚えられる。安価なものは1000円台からあり、三線の約10分の1の予算で手に入る。指を動かすことは脳の活性化に有効とされるだけに、試してみる価値はありそうだ。

(T)