51年前のコザ暴動が再び? 若者ら500人が暴動


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄警察署(沖縄市)の周辺に27日夜から28日早朝にかけ、約500人の若者らが集まり、庁舎に石を投げ付けるなど暴動を起こした。高校生が警察から暴力を受けたとの情報を得て集まった若者たちが暴れたものだが、こうした行動は一切肯定できるものではない。

 今年は沖縄が本土に復帰してから50年になる。今でも復帰前のような暴動が起こるのかと驚いている。

 本土復帰直前はベトナム戦争の最中で米軍も周辺住民も血気盛んだった。1970年12月、コザ(現在の沖縄市)で米兵によるひき逃げ事件がきっかけとなり、米軍の車両や施設を焼き討ちする暴動が起きた。

 この「コザ暴動」を題材の一つとして扱っている映画が沖縄で先行上映されている。米軍基地と共存する街コザを舞台に、現代と1970年が交錯するコメディー映画「ミラクルシティコザ」(平一紘監督)だ。

 全編沖縄ロケで、主役の桐谷健太以外、出演者のほとんどが沖縄出身者または在住者で固められている。コザの街を中心に見たことのある景色ばかりで、とてもリアリティーにあふれている。根幹に流れるテーマはコザロックと、コザ市民と米兵の感情の機微だ。

 米統治下の沖縄でロック音楽を演奏し、「ドルの雨を降らせた」ことを経験した伝説のロックバンド「紫」がモデルになっているが、そのロックバンドの主要メンバーはあれから50年以上たった現在も健在だ。定期的にライブハウスなどで演奏し、往年のコザロックファンを楽しませてくれる。

 映画のエンドロールでは、50年前の貴重な写真の数々が紹介されている。将来を見通せない波乱万丈だった当時に思いをはせながら、感傷に浸っていたのは筆者だけではないはずだ。

(T)