中高生と共有した感動体験
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
16日、現代版組踊「肝高(きむたか)の阿麻和利(あまわり)」(主催・あまわり浪漫の会)を観賞した。出演者は地元うるま市の中高生。
「組踊」とは、音楽・舞踊・台詞で構成される琉球古典劇。能や歌舞伎の影響も受け、約300年の歴史を持つ。全編が沖縄方言であるため、字幕なしで理解するのは困難だ。
それに対し、現代版組踊「肝高の阿麻和利」は古典劇の様式を残しながら、演劇、バンド音楽、ダンスなどを取り入れ、誰にでも分かりやすい作風となっている。
14、15、16日の3日間は、活動15周年を記念したイベントとして世界遺産の勝連(かつれん)城跡(うるま市)で披露された。勝連城跡での開催は4年ぶりという。
「肝高の阿麻和利」公演は、中高生が郷土に誇りを持てるようにすることや青少年の健全育成が狙い。地元のうるま市を中心に県内外、さらには国外で200回以上の公演を行い、今年で活動15周年を迎えた。
16日は、高校3年生にとっての「卒業公演」、すなわち、最後の出演となった。公演後の舞台あいさつでは、出演者全員が何度も深々と頭を下げ、観客の拍手は鳴りやまなかった。出演者と観客が感動体験で一つになった瞬間だった。
そして、勝連城を降りる坂道に約200人の出演者が整列し、来場者一人ひとりに「ありがとうございました」と声を枯らしながらあいさつ。観る者に感動を与えてくれたことに、こちらから「ありがとう」と言いたい。
世界遺産での大きな舞台を経験した高校3年生にとっては、今後の人生を歩む上で大きな飛躍の舞台となったことであろう。(T)