仲井真弘多知事の埋立申請承認を支持
沖縄県庁前で市民集会
「普天間の固定化阻止」のため英断
春分の日の21日、那覇市の県民広場で「仲井真弘多(ひろかず)知事を支える県庁前集会」(主催・同実行委員会)が開催された。知事が、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の危険性除去のために米軍キャンプ・シュワブのある名護市辺野古沖の公有水面埋立申請を承認したことを評価、支持するもの。これまで、辺野古移設に反対する集会は多く開催されてきたが、辺野古移設を支持する集会は珍しい。一方、在沖米軍撤去と本土・沖縄分断を狙う「琉球独立」を要求する「パレード」が同日、那覇市内で開かれた。(那覇支局・竹林春夫、豊田 剛)
同日、「琉球独立」派も那覇で50人“パレード”
「普天間飛行場の固定化を断固阻止するぞ」「われわれは仲井真知事を支えるぞ」――。3月下旬としては異例の寒さとなった21日、県民広場には宜野湾市民を中心に県内各地から約350人が集まって、日の丸の小旗を手に、こう気勢を上げた。
集会ではまず、実行委員長を務めた平安座(へんざ)唯雄元宜野湾市議が「沖縄の米軍基地は地政学上、また、安全保障にとって欠かすことができない施設であり、街の真ん中にある普天間飛行場を危険が少ない辺野古に移すのが最善策で、県民の命と安全を守ることができる」と辺野古移設の正当性を主張した。そのうえで、「辺野古移設が実現されれば、沖縄県は全国から高い評価が得られるだろう」と述べ、「仲井真知事は大田昌秀知事、稲嶺恵一知事が決断できなかったことを決断した」と仲井真知事の埋立申請承認を評価、支持した。
続いて自民党沖縄県連を代表して照屋守之県連幹事長、新垣(しんがき)哲司元県連会長、宜野湾市選出の又吉清義県議の3人が登壇。「普天間飛行場の固定化阻止のための知事の判断は正しい」「基地問題を解決しながら、経済発展を達成できるのは仲井真知事しかいない」と基地問題を前に進めようとする仲井真知事を激励した。
最後に、「普天間飛行場移設に対して、『オール沖縄』と称し、まるで全県民が反対しているかのような県議会野党の言動には宜野湾市民として憤りを感じる。知事の決断は歴史に耐えうる英断であることは心ある県民ならば誰でも理解できる。固定化されれば犠牲になるのは宜野湾市民に他ならない」という趣旨の決議文を採択。今後も知事を支えるために行動することを誓って閉会した。
一方、「知事を支える集会」の1時間前、那覇市の目抜き通りである国際通りで、沖縄の独立派による約50人の「平和のための琉球自立独立パレード」が開催された。東アジア共同体創設機構の大城浩詩理事長が主催したもので、琉球独立を掲げる「かりゆしクラブ」も参加した。
大城氏は、「最低でも県外」発言で県民感情を裏切りながらも東アジア共同体構想を打ち上げた鳩山由紀夫元首相の考えを高く評価している。
県内では、昨年5月15日に琉球民族独立総合研究学会が設立されて以来、ごく少数の独立推進派が各種シンポジウムや集会を開催した。本土と沖縄の分断を意図するこうした独立運動が地元メディアだけでなく、朝日新聞などの大手紙でも報道されるようになった。琉球新報は20日、大城氏の意見文を紹介。沖縄タイムスは当日の21日、「かりゆしクラブ」役員の屋良朝助氏の意見文を掲載した。
「パレード」では「われわれは琉球の独立を要求する」「平和外交は琉球が得意だ」などのシュプレヒコールを日本語と中国語で叫んだ。大城氏は「インターネット動画にアップし、全世界に発信される」と訴えた。
独立派は、東京でも同日に渋谷から外苑前にかけて約2000人規模の「東京連帯行動平和のための琉球自立独立パレード」(琉球民族独立平和パレード東京連帯実行委員会)を開催すると予告していたが、「パレード」は許可申請もしておらず、実施されなかった。
これに対して、「琉球独立パレード」に抗議する目的で、「中国・朝鮮による琉球独立工作を許さない国民決起集会」(主催・同沖縄県人会、共催・琉球独立工作から沖縄を守る全国有志会)が同日、東京都渋谷区の集会場で行われた。
主催者代表で中国の沖縄工作活動に詳しい仲村覚氏(沖縄対策本部代表)は、「琉球独立パレード」について「琉球独立を望んでいる0・1%以下のごく少数の沖縄県民の声を東京を経由して99・9%の県民が琉球独立を望んでいるかのように海外に配信すること、そして、沖縄の人が日本人と日本政府からあたかも差別的虐待を受けているようなプロパガンダの既成事実をつくるために、写真や動画を撮影する工作だ」と指摘、「その目的は、在沖米軍基地撤去の国際世論の喚起と中国人民解放軍の沖縄上陸の国際的大義をつくることで、中国が背景にいるのは間違いない」と説明した。
東京での「パレード」が中止になったことについて、仲村氏は、「実行委員会や支援団体が有名無実で、計画そのものがプロパガンダであったことが証明された」と述べるとともに、「彼らは30日にパレードを延期したと言っているが、われわれは今後も中国による本土と沖縄分断工作を阻止する運動を続ける」と警戒感を強めた。