夏に期待膨らむ高校野球


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 春の選抜高校野球大会(センバツ)では、沖縄県から沖縄尚学高校と美里工業高校が出場し、十分に存在感を示した 。

 沖縄尚学は初戦、地元兵庫の報徳学園を相手に、エース山城大智選手の好投と守備力の高さで1点を守り切った。2回戦の白鴎大足利(栃木)戦では、序盤は沖縄出身の比嘉新投手の好投もあり互角の戦いだったが、終盤は怒涛の攻撃で快勝。3回戦は初出場の豊川(愛知)に山城投手の立ち上がりを痛打され敗退した。ただ、投手の久保柊人選手が好リリーフし、2本柱の能力の高さを示した 。

 一方、春夏通じて初出場の美里工は、2008年に浦添商を甲子園ベスト4に導いた神谷嘉宗監督の指導の下、急成長したチームだ。秋の県大会では沖縄尚学を決勝で破って優勝した。センバツでは、初戦、関東第一(東京)相手に逆転負けしたものの実力は伯仲していた 。

 2校以外にも注目すべき学校がある。巨人の宮国椋丞投手の母校である糸満高校はエースの赤嶺祥吾選手と強力打線がチームを引っ張り3年ぶりに県春季大会を制した。春夏連覇を経験し、我喜屋優監督が率いる興南高校も潜在能力は高い 。

 「県を制することは、全国を制することと同じぐらい難しい」とも言われ始めている 。

 以前は沖縄の高校球児はハンディを背負っていると言われていた。強豪校と練習試合をするにも時間もお金も掛かり、高いレベルの野球に触れる機会が少なかったからだ。

 ところが、今ではほとんどのプロ野球球団がキャンプに訪れ、野球の環境施設が整った。一年を通じてグラウンドで練習ができる。夏の甲子園にはどこが出場するか、早くも期待が膨らむ。(T)