温かい豆腐が店頭から消えた、支援事業展開へ
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
10月2日は語呂合わせから「豆腐の日」。豆腐は沖縄の台所に欠かせない食材だ。植物性タンパク質が豊富で、値段も手ごろで、簡単に満腹感を得られる。沖縄では、チャンプルー料理として炒めて食べるのが定番。
最初に沖縄に来て驚いたのは、スーパーの豆腐コーナーが充実していることだ。中でも、一般的な木綿豆腐に近い「島豆腐」が大半を占める。
島豆腐は14世紀以降、中国と交易する中で、中国からの使者・冊封(さっぽう)使が連れてきた料理人たちが製法を伝授して沖縄に広まったとされる。
それ以来、温かいままの豆腐が売られてきたというが、1972年に日本復帰した際、食品衛生法により豆腐を水にさらして販売する事が義務付けられた。しかし、食文化の維持などを理由とした陳情の結果、温かい豆腐をそのまま販売する方法が2年後に特例として許可された。
ところが、今年6月以降、温かいまま売られる豆腐を見る機会が減った。沖縄県豆腐油揚商工組合によると、国際的な衛生管理基準「HACCP(ハサップ)」に沿った衛生管理が6月から義務化され、水にさらさない温かいタイプの島豆腐の販売時間が3時間以内と短くなった。そのため、返品が増え、経営が悪化する業者もあるという。温かい豆腐の販売をやめた業者も出ている。
同組合は、販売基準を守りながら少しでも長い時間、より多くを販売できるよう「あちこーこー豆腐保存プロジェクト」を進めている。クラウドファンディングで資金を集め、店舗に到着する時の温度維持のため保温材を配布するなど、製造業者に対する手厚い支援事業を展開するという。
(T)