生活様式が変化、忍び寄る健康長寿の危機
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
9月15~21日は「老人週間」。沖縄県は、今年度中に100歳を迎える「新100歳」が1日時点で589人(男性83人、女性506人)で、過去最多となったと発表した。前年より98人増加した。100歳以上の総数も同54人増の1269人(男性143人、女性1126人)で過去最多だった。
沖縄県知事は、新100歳の代表者の自宅を訪問して記念品を贈呈している。昨年と今年はコロナ禍にある。玉城デニー知事や国から表彰状や記念品などが贈られる。
本年度の最高齢者は、113歳の我謝(がじゃ)マツさん=中城村=、続いて同じく113歳の與那嶺(よなみね)ナヒさん=北中城村。100歳以上の県内上位19人はすべて女性だった。
一方、男性の最高齢者は107歳。100歳以上の人数は、男性が143人で、1126人の女性に大きく引き離されている。
長寿者の割合が高い中城村、大宜味村、国頭村などに共通するのは、典型的な田舎のライフスタイルで、「生涯現役」の気持ちで元気よく畑仕事をしている高齢者(特に女性)が多いことだ。地産地消の食生活が中心になっている。
大宜味村の長寿研究をする平良一彦琉球大学名誉教授は、①食塩摂取が少ない②動物性タンパク質、特に豚肉の摂取が多い③野菜類の摂取量が多い――ことを長寿の理由に挙げる。
近年、こうしたライフスタイルに少しずつ変化が見られる。地方のバイパスなどに外食チェーンやファストフード、コンビニが多く進出。それに加え、気候変動に伴う異常気象やコロナ禍の影響で畑への足が遠のいたり、ボランティアなど社会的活動をする高齢者が減ってきているとも聞く。
健康長寿の危機に瀕(ひん)している今こそ、もう一度、ライフスタイルを見直したい。(T)