沖縄県庁壁面へのライトアップは誰のため?


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄県庁の壁面に「緊急事態宣言発令中」の文字が浮かび上がっている。

 沖縄県は11日、県庁舎壁面を夜間ライトアップし、メッセージを映して新型コロナウイルスの感染防止対策、不要不急の外出や県境をまたぐ移動の自粛などを呼び掛けている。新規陽性者数の速報値も表示し、感染対策の周知を狙う。沖縄の旧盆が終わる22日まで。

 ただ、映し出されたメッセージは読みづらい。県庁職員の多くが残業で、庁舎の多くの部屋の電気がついていたためだ。

 さらに、日が暮れる19時以降、県庁前付近を出歩く人は少ない。メッセージが読みやすい場所は、県庁前のバス停かその後ろにある商業施設だ。その頃にはバス停で待つ人は少なく、商業施設は閉店時間間際で閑散としている。いったい何人の目に付き、どれだけの効果があるのか疑問だ。

 県庁職員によると、約100万円の予算が投じられているというが、費用対効果は検証されたのだろうか。ネット上では「知事の『やってます』というアピール」「今さらながらメッセージを出したところで何がどう変わるか」「電気代の無駄」など、辛辣(しんらつ)な意見ばかりだ。

 一方、NHK沖縄放送局のテレビでは、8月に入り、新型コロナウイルス感染の注意喚起のテロップが絶えず流れている。スポーツ中継などを観(み)る際に画面が一回り小さくなってしまうのは残念だが、これぐらい徹底すればそれなりの効果があるだろう。

 沖縄県の感染状況は、世界的に見ても最悪レベルだ。同じ予算を投じるにしても、県民にしっかり届き、さらに、何か県民の心に響くような取り組みをしてほしいと思う。

(T)