全国で最後、沖縄県出身の金メダリストに歓喜


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 東京五輪の空手男子形で、沖縄県出身の喜友名(きゆな)諒(りょう)選手(劉衛(りゅうえい)流龍鳳会)が見事、金メダルを獲得した。五輪が閉幕しても、その興奮が冷めやらないままだ。

 今回の五輪で沖縄県は二つの偉業を達成した。

 喜友名選手の金メダルは沖縄県初の快挙。全国で最も遅い47番目での達成だが、これで全都道府県で個人金メダリストが誕生したことになる。

 「目標を持って諦めずに目指してやってきたので、『継続していれば達成できる』ということをオリンピックを通して伝えることができた。沖縄の子供たちにも大きな夢と希望を与えることができていたら嬉(うれ)しい」

 試合翌日の記者会見でこう述べた。

 もう一つの偉業がレスリング男子グレコローマン77㌔級の屋比久(やびく)翔平選手(ALSOK)だ。喜友名選手が金メダルを獲得した3日前、五輪個人種目での初の銅メダルを獲得した。

 これまでの沖縄出身選手によるメダルは1992年バルセロナ大会での体操男子で、知念孝(河合楽器=当時)が団体で獲得した銅が唯一だった。

 喜友名選手の金メダルを受け、玉城デニー知事は「空手発祥の地、沖縄から世界に誇るメダリストが誕生したことを心から誇りに思う。県民に勇気と希望を与えてくれた」とコメントを発表した。

 さらに、野球の「侍ジャパン」は決勝で米国を破って優勝。チームの一員だった平良海馬投手(西武)も晴れて金メダリストとなった。

 沖縄県の本土復帰から49年、五輪でもようやく全国レベルに追いついたと思うと感慨深い。メダルに届かなかった選手も含めて、日本の一員として日の丸を背負って戦った姿は誇らしく思えた。

(T)