沖縄野菜の代表格、ゴーヤーの呼び方で論争も


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄は今月2日、平年よりも11日遅く梅雨が明け、夏本番を迎えている。この時期、食べたくなるのがゴーヤーチャンプルーだ。ゴーヤー(ニガウリ)は沖縄野菜の代表格。苦みが特徴的で、栄養価が高く、夏バテに効果的とされる。

 コンビニ弁当でも定番だ。ファミリーマートは県外では「ゴーヤチャンプルー」として発売している。セブンイレブンも「ゴーヤチャンプルー」だ。ツイッターなどのSNS(インターネット交流サイト)では沖縄県民のユーザーから「ゴーヤ」ではなく「ゴーヤー」だと指摘するコメントが多く見られた。

 沖縄では単語の語尾を伸ばす話し方が一般的で、語尾を伸ばさずに「ゴーヤ」と呼ぶことに違和感があるようだ。そのため、SNSには「ゴーヤー警察」と称して指摘をする人がいる。特に、沖縄県内で「ゴーヤ」表記があれば、集中攻撃の対象につながることもある。

 そもそも20年ほど前までは、ゴーヤーという名前が定着していなかった。全国区のきっかけとなったのは、沖縄を舞台にしたNHK連続小説「ちゅらさん」に登場したゴーヤーのキャラクター「ゴーヤーマン」だろう。

 ゴーヤーの語源を調べると、中国語の「苦瓜(クーグア)」や英語で「ヒョウタン」を意味する「Gourd(ゴード)」など諸説あり、確定的なものはないらしい。

 日本への伝来では、1713年の「琉球国由来記」という文献に、苦瓜の名称が記されている。ただ、それより少し前の江戸時代の書物にも苦瓜が登場している。活用の仕方は違えど、琉球でも日本でも同じように愛されてきた。

 結局のところ、呼び方にも正解はないと言えよう。小さなことで目くじらを立てずに、そのおいしさを味わいたいものだ。

(T)