「仕組みが複雑」、意外に不評な県民宿泊割


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 首都圏での新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が続いており、県内の観光関連業界に本格的な春が到来する気配はない。

 プロ野球のキャンプ観戦、さらには、修学旅行で多くの旅行客が訪れる2月は軒並み、ホテルの稼働率は「壊滅的な低さ」(あるホテル支配人)となった。こうした中、県と沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は、「家族でStay Hotel」と名付け、同居家族だけで県内のホテルや旅館を利用した場合、1人1泊当たり5千円を補助するキャンペーンを2月10日から28日まで行った。

 あるリゾートホテルには「普段は泊まることのないホテルで贅沢(ぜいたく)できた」「よい家族の思い出ができた」と良いフィードバックがたくさん寄せられたという。

 一方、利用できなかった人の中には、「受け付け開始してすぐに予約がいっぱいになっていた」「どのホテルにどういうプランがあるのか、分かりにくい」との不満も噴出。受け付け開始が遅いホテル・旅館があったり、追加予約の受け付けのタイミングが分かりにくいという問題も浮き彫りになった。

 県とOCVBは間髪入れず、3月10日から別の県民向けの県内旅行需要回復のキャンペーンを開始した。旅行代理店を通じて宿泊のみの旅行商品を予約する場合、最大で8千円が補助される。

 ここでも2月のイベントと同じ現象が起きている。「受け付けが始まってすぐ売り切れた」「仕組みが分かりにくい」「ネットに不慣れな情報弱者には不利だ」という苦情が続出しているという。

 県観光政策課の担当者は「ここまで反響があるとは予想していなかった」と話す。利用者の不満が解消されるよう知恵を絞ってもらいたいものだ。

(T)