消費が全国で最下位、沖縄の漬物事情


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 1月7日に日本列島を襲った寒波の影響で沖縄にも本格的な冬が訪れた。
 寒い時に食べたくなる物といえば漬物だ。全国の食卓ではご飯のお供として添えられることが多いが、沖縄ではほとんど食べられていない。スーパーマーケットでたくあんを探すことすら難しく感じる。

 経済産業省の統計によると、沖縄県の漬物消費金額は全国平均の約50分の1とダントツの最下位で、生産額は全国のわずか0・1%しかない。

 沖縄の料理は脂分が比較的多く、口直しに漬物を食べたくなることがあるが、塩分の過剰摂取を避けるためには食べ過ぎないに越したことはない。

 実際、漬物メーカーは少なく、土産物としてもほとんど定着していない。例外はある。制菌効果があり食中毒防止にもなるとされる梅干しは、蒸し暑い日が一年を通して多い沖縄でよく食べられている。

 那覇市の中心地、国際通りとその周辺には無数の土産物店や食堂、食料品店があるが、漬け物を扱う店は筆者が知る限りでは2店しかない。そのうちの1店は精肉や鮮魚店がひしめく牧志公設市場の中にある。先日、その店の前を通り掛かると声を掛けられ、次々と試食させてもらった。パパイヤのぬか漬けと醤油漬け、ゴーヤーのぬか漬けと酢漬け、大根のシークヮーサー漬け。そして、島らっきょうは塩漬けとキムチ風味があった。いかにも沖縄らしいラインナップだ。

 店員は、「蒸し暑い沖縄にはぬか漬けは定着しないのでは」とした上で、「漬物も進化していて食べやすくなった。今ではキムチ味が人気です」と教えてくれた。

 ゴーヤーやパパイヤ、島らっきょうは沖縄ならではの食材だ。地元での消費が伸びなくても、観光客には十分な魅力になり得ると感じた。

(T)