災厄多かった昨年を乗り越えて今年は前向きに


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 新型コロナウイルス感染の話題で終始した2020年が終わり、新年を迎えた。

 沖縄県は感染者急増のため4月には独自の緊急事態宣言を発令した。その間、学校や公共施設はすべて休みとなった。8月にも再び緊急事態宣言を出すなど、年間を通して感染者数の高止まりが続き、12月31日までの累計感染者数は約5400人となった。

 コロナ関連の支援制度をめぐっては、沖縄タイムスの元社員らが組織ぐるみで不正受給をしていたことで、11月に逮捕者が出た。

 コロナ禍以外にも残念なニュースが多かった。

 豚熱(CSF)の発生が33年ぶりに確認され、約1万2千頭の豚が殺処分された。ウイルスが混入した非加熱の残渣(ざんさ)を餌に与えていたことが感染要因とされている。久米島町では和牛の血統違い問題もあった。希少性の高い優良種雄牛「安福久(やすふくひさ)」の血統として出荷された和牛から、実際の登録と異なる血統が確認された。沖縄本島北部特産の果物、シークヮーサーの原因不明の立ち枯れ被害も確認された。

 いずれのケースも県への報告が遅れたことが問題視され、県の危機管理能力の低さを露呈する形となった。

 2019年10月の首里城火災は沖縄県にとって不吉の予兆だったのかと考えざるを得ない。一方、首里城の工事が始まり、有料区域に入場できるようになったことは評価したいが、県警と那覇市消防局はまだ火災原因を特定できていない。うやむやなままの幕引きになりそうだ。

 12月から今月5日現在まで、晴れの日がほとんどない沖縄だが、初日の出を拝むことができたのはある意味、奇跡だ。明けない朝はない。前向きに、明るい気持ちで2021年を過ごしていきたいものだ。

(T)