沖縄のタウン情報誌「おきなわ倶楽部」が休刊に


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄県の月刊タウン情報誌「おきなわ倶楽部」(以下、倶楽部)が11月30日発売の12・1月合併号をもって休刊となった。

 同誌を発刊するダイオキ社は1994年に旅行情報誌「たびじん」を創刊、その翌年には「おきなわ倶楽部」に誌名を変えて県内の飲食店やイベント情報を掲載してきた。

 ダイオキ社はホームページで「情報発信の多様化と雑誌市場が加速度的に縮小する中、月刊誌として維持することが困難となった」と説明している。同社によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、取材件数や広告出稿数が大幅に減少していたという。

 情報の半分程度は飲食店関係が占めているが、コロナ禍で多くの飲食店は閉店を余儀なくされた。もう一つの特徴はイベント紹介だが、これも今年は軒並み中止。明るい話題探しには相当苦戦したのだと察しが付く。

 実は倶楽部の競合誌「沖縄JOHO」(沖縄情報ドットネット発行)もあったが、2011年に休刊となっている。沖縄JOHOの歴史は倶楽部より少し長い。1983年に創刊号が発行されてから28年、県内の若者向け情報誌の草分けとして定着していた。倶楽部よりもコラムが多い印象で、ディープな情報が売りだっただけに、休刊を惜しむ人は多かった。

 ネットの情報で十分という見方もあるが、出版物を手にする時の印象はより鮮明だ。鉄道やキオスクがない沖縄には、ホットペッパーのように充実した無料情報誌はないから、余計にそう思えるのかもしれない。

 最終号の倶楽部の表紙には「また会える日を願って!」と書いてある。コロナ禍が収束し、再びタウン情報誌を手にすることができることを願っている。

(T)