シークヮーサーの立ち枯れ被害を乗り越えて


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 9月22日はシークヮーサーの日。シークヮーサーは沖縄本島北部の名産品だが、沖縄ではシークヮーサーなど柑橘類を総称して「クニブ」(九年母)と呼ぶことから、語呂に合わせて県がこの日を決めた。

 今年、シークヮーサーの木に原因不明の立ち枯れの被害が広がっている。

 大宜味村と並ぶシークヮーサーの主要産地である名護市勝山では2~3年前から立ち枯れ被害が報告され、クラスターのように被害が広がっているという。JA北部地区営農振興センターによると、ゴマダラカミキリやナガタマムシによる食害で樹勢が弱くなったことや土壌の病原菌による疫病が原因と分析。2016年の大型台風被害の影響が残っているという見方もできるという。

 危機感を強めたJAなど関係団体は県に対し対策を求めた。関係者によると、被害は10年ほど前から起きていて、局地的に被害が拡大しているという。これを受け、玉城デニー知事は県庁内に「カンキツ立ち枯れ症状対策チーム」を発足させた。

 立ち枯れ被害にもかかわらず、今年度は県全体で前年を上回る生産を見込んでいる。一昨年の台風被害から樹勢回復が進み、開花状況も良好だったことから生産量が増えたという。

 シークヮーサーは、果皮が緑色の小粒の柑橘類で、和名は「ヒラミレモン」。沖縄方言で「シー」は「酢」、「クヮースン」は「食わせる」の意味だ。味は酸っぱくて苦く、甘みが少ないのが特徴。定番商品は濃縮液で炭酸水で割るのがお薦めだ。

 シークヮーサーに含まれるフラボノイドの一種、ノビレチンにはがん抑制効果や認知症予防効果があるとする研究報告が次々と出ている。シークヮーサーを積極的に摂取して、厳しい残暑を乗り越えたい。

(T)