米軍クラスターの感染源は? 高山医師の考察


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 在沖米軍基地内で130人超が新型コロナウイルスに感染した。これについて、沖縄県立中部病院で感染症対策に取り組む高山義浩医師は自身のSNSで感染源について考察し、三つの可能性を探った。

 一つ目は、米国本土から持ち込まれた可能性だ。米国内では大きな流行となっており、「渡航者より感染が広がったと考えるのは自然」とみる。

 二つ目は、もともと県内のナイトスポットで流行していると仮定し、そこで米兵が感染してしまった可能性だ。米軍の基地外での感染対策は十分でなかったことが明らかになった。

 最大の警戒レベルでは、基地外での飲食(テークアウトも含む)、公共交通の利用などが厳しく制限されている。ところがこれが緩和されていた6月から7月上旬にかけて基地外でパーティーが開催され、マスクは着用せず、歌って踊り、肩を組んでビールを回し飲みする光景が散見された。この可能性を危惧した県立中部病院は12日、北谷町で濃厚接触の疑いがある130人に検査を実施したところ、全員が陰性だった。

 三つ目として、7月4日の独立記念日のパーティーを目当てに日本本土から遊びに来た観光客の中に、スーパースプレッダー(高い感染力を持つ人)がいた可能性を指摘した。パーティーに参加した軍人によると、観光客の女性も何人か混ざっていたという。「沖縄の女性から感染者が出ないことからも、東京の夜の街に繋(つな)がっている可能性がある」と分析する。

 集団感染を受け、高山医師は在沖米軍と意見交換し、「感染対策の実効性を高めるためにも、フェンスを越えた連携を強化すべき」という共通認識の下で、「臨床ベースでの非公式な情報交換を重ねていく」ことを確認した。

(T)