夏の風物詩「かりゆしウエア」沖縄県外普及の壁


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄は12日、梅雨明けし、本格的な夏が訪れた。沖縄の夏の風物詩はかりゆしウエア。高温多湿の季節を乗り越えるには必須アイテムと言えよう。
 かりゆしウエアは、社団法人沖縄県観光連盟会長の宮里定三氏が発起人となり、1970年、「沖縄の暑い夏を快適に過ごすこと」と「観光沖縄をPRすること」を目的に、当時は「沖縄シャツ」という名称で発売された。

 かりゆしウエアの普及を大きく進める契機となったのは、それから35年後の2005年。当時の小池百合子環境相兼沖縄担当相(現、東京都知事)が、地球温暖化などの環境対策を念頭に「クールビズ」と称し、ネクタイや上着をできるだけ着用しないよう呼び掛けた。

 かりゆしウエアの生産は2000年に11万着程度だったが、昨年は42万7000着になり、PRには一定の効果があったと考えられている。ただ、ここ5年間は伸び悩んでいる。県内市場が飽和状態になっていることも要因の一つだ。

 那覇市のかりゆしウエアショップの店員に聞くと、「観光客の反応はそれほど良くない」と意外な返事が返ってきた。「フォーマルすぎる」「ビジネスでは着にくい」「購入したが実際に着用していない」という声が寄せられているという。

 夏は日本全国が猛暑に見舞われる。35度超えの猛暑日は全国各地で観測されている。意外にも沖縄で猛暑日を観測することはほとんどない。「沖縄の暑い夏を快適に過ごす」だけでなく、日本の暑い夏を快適に過ごすためにも、かりゆしウエアが全国的により普及すればと思う。

 最近はノーアイロンタイプのものも売られていて便利だ。今後、生産側が県外・国外のニーズにいかに応えられるかが普及のカギを握ることになりそうだ。

(T)