島嶼観光の課題は量より質、那覇でITOP開催


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 島嶼(とうしょ)部を持つ国々の知事らが集まり、第23回島嶼観光政策フォーラム(ITOP)が6日、那覇市内のホテルで開かれた。テーマは「観光によるSDGs(持続的発展目標)への貢献」。

 ITOPは、島嶼という共通の条件下にある世界の主要島嶼地域の知事・省長が集まり、観光を中心とした相互協力、課題の解決方策や協力可能な施策などについて協議することを目的に、1997年に始まった。参加地域メンバーはアジアを中心に世界10カ国の地域。今回は、タイ・プーケット県、インドネシア・バリ州、スリランカ・南部州、中国海南省、韓国済州島が参加した。

 フォーラムでは、国連が掲げる持続可能な開発目標SDGsの理念を普及させること念頭に、観光に携わる人すべてが環境対策に取り組む必要があると確認した。複数の参加者は、観光客数を追い求め過ぎた結果、地元の生活環境や海や山の自然が損なわれることや、ごみ処理問題、交通渋滞に直面しているという現状を紹介した。

 共同声明では、「持続可能な観光地づくり」に向けてビジョンを示し、地域間で連携して課題解決に取り組むことを確認した。地域資源の保護に配慮し、観光事業者や地域住民とも連携して観光振興を図る方針も示した。

 沖縄県は昨年度、年間観光客数1千万人を突破したが、玉城デニー県知事は、「各地域が固有の資源である自然・文化・歴史などの魅力を最大限に生かし、地域住民や事業者などすべての関係者が一体となって取り組む必要がある」と自戒の念を込めて話した。

 沖縄県は現在、空港やホテルなど観光インフラは、飽和状態で「オーバーツーリズム」と呼ばれる生活環境や交通渋滞の悪化が目立っている。観光の量から質への変換が求められている時期に来ている。

(T)