「自由民主」に女性候補者育成の記事が掲載

低い自民の女性議員比率、男女参画法の求めに対応

 東京五輪・パラリンピックで女性政治家が存在感を示している。大会組織委員会の橋本聖子会長(参院議員)、開催地東京都の小池百合子知事、政府の丸川珠代五輪・パラリンピック担当相(参院議員)だ。丸川氏以外は自民党を離党したが、女性議員でも自民党に人材ありの印象だ。

 ところが、女性議員比率となると自民党は他党より低い。それを意識してか、自民党の機関紙「自由民主」(8・3)1面に、「女性未来塾候補者育成コース」の記事が載った。同党女性局が設置する特別講座で、6月29日に地方選を目指す50人の受講生を集めて行われた「第2期開講式」を主に扱ったものだ。

 同紙は、「令和2年末現在で、わが党の都道府県議会議員に占める女性の割合は3・6%。市区議会議員は7・5%にとどまっている」と、現状を報告。

 ちなみに男女共同参画白書によると、令和2年(2020年)末現在の地方議会における女性の議員比率は、特別区議会30・2%、政令指定都市の市議会20・4%、市議会全体は16・2%,都道府県議会11・5%で、自民党が平均より低いのは明らかだ。

 同紙は、「政治分野男女共同参画推進法では、男女問わず立候補や議員活動がしやすくなるよう、政党の積極的な取り組みが求められている。候補者育成コースの設置は、法律で求められている事項に応えた形だ」と説明している。

 また同紙によると、「(第2期)受講生は100人以上の応募者の中から…厳正な選考を経て選ばれた約50人」と期待するが、第1期で実ったのは市議会議員2人という。女性議員比率を上げるのは選挙に勝たなければならず、比例代表のない地方選挙で実力主義の個人戦となると容易でないかもしれない。

 6月に同党女性活躍推進特別委員会(委員長・森雅子参院議員)は、国政選挙候補者における女性比率を35%にするように党に対し提言した。が、これに同党が応える前に、立憲民主党の枝野幸男代表は先月、2030年までに党の候補者、議員、党職員の女性比率を3割にする方針を発表。先を越された形だ。

 世界の下院(衆院)における女性比率で日本は166位の9・9%。自民党はこれにも届かず約8%だ。有権者の半分は女性だ。五輪開会、閉会式に男女で旗手を務めるという時代の流れに、「男社会」の同党は後れを取るまいと不器用に対応しようとしている。

編集委員 窪田 伸雄