「自由民主」党大会延期
政治に影響する感染拡大 運動方針で憲法改正を強調
自民党機関紙「自由民主」1面に同党にとって重要な行事の延期が連続して布告された。いずれも一般多数の参加が見込まれる。
「故中曽根元総理の合同葬を延期/新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、政府とわが党は2月25日、今月15日に予定されていた故中曽根康弘元総理・総裁の内閣・自由民主党合同葬(葬儀委員長=安倍晋三総理・総裁)を当面延期することを決めた」(3・17)
「第87回定期党大会を延期/本年3月8日に開催を予定していた『第87回定期党大会』は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、延期となりました」(3・3)
同紙は週刊で日付の1週間前に発行される。党大会延期発表は2月21日。同28日には首相が臨時休校、イベント自粛を要請した。感染の影響は政治も例外ではない。発生源の中国では全人代(国会に相当)が延期になるほどで、習近平国家主席来日も延期になった。
同紙10日付1面は、2月21日に党総務会が了承した「『みんなが輝く令和の国づくり』を主題とする令和2年党運動方針案」について、「①前文②憲法改正③重点政策④党活動―の構成となっている。特に、党是である憲法改正については前文の直後に独立した章を設けた」と、改憲運動を強調したと説明している。
同運動方針は「党大会の延期に伴い、近く開催される『党大会に代わる両院議員総会』で決定される見込み」と予告し、同総会は17日に感染対策の下に行われて同方針も決定された。
改憲の方針は、同党提案の①自衛隊明記②緊急事態③教育充実④参院選合区解消―を叩(たた)き台に国民運動を喚起するものだが、目下の感染症拡大で緊急事態が注目されよう。これまでも東日本大震災と原発事故、台風の激甚化など想定外の事態が次々と起きている。
新型コロナウイルスでも緊急事態宣言を可能とする改正特別措置法が成立したが、別の予想外な事態が起きて、私権制限のほか国会が開けない、国政選挙が行えず議員任期が切れるなどのケースもあり得る。緊急事態として憲法に書く必要を国民に提起し運動を高める意義はある。