米国務省が日本での強制改宗を問題視
宗教自由報告書-大学が「敵対的環境」
【ワシントン早川俊行】米国務省は20日、信教の自由に関する世界各国の状況をまとめた2012年版「国際宗教自由報告書」を発表した。報告書は日本について、世界基督教統一神霊協会の信者らに対して拉致監禁・強制改宗行為が行われていることを取り上げるとともに、各大学が同協会の学生にとって「敵対的な環境」になっていることを問題視している。
報告書は「ディプログラマー(強制改宗屋)らが家族と手を組み、統一教会および少数派宗教の信者を拉致し続けてきたことが報告されている」と明記。拉致事件の件数は1990年代から大幅に減ったとしながらも、「非政府組織(NGO)の『国境なき人権』は、統一教会信者に対する拉致・強制改宗は継続して発生していると主張している」と指摘した。
報告書によると、昨年、同協会信者が拉致されたケースは3件あるほか、拉致と疑われるケースも2件あるという。3人の拉致被害者のうち1人は依然、監禁されている可能性が高く、残りは解放され、同協会に戻っている。
報告書は、日本の各大学が「カルト阻止」セミナーなどを開催し、学生を同協会系の団体にかかわらせないようにしていることにも言及。こうした大学当局の取り組みが「統一運動の学生に対する敵対的なキャンパス環境につながっている」とする同協会側の主張を紹介した。また、同協会学生が信教の自由を侵害されたとして佐賀大学を提訴したことも取り上げている。