東京高裁 「監禁」認め、2200万円賠償命令 12年余の強制棄教訴訟で
松永牧師の共同責任も認定
新潟市や東京・荻窪などに約12年5カ月にわたって拉致監禁され、信仰する宗教団体からの脱会を強要されたとして、世界基督教統一神霊協会の信徒である後藤徹氏が、家族や宮村峻氏、新津福音キリスト教会の松永堡智牧師らに約2億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が13日、東京高裁であった。
須藤典明裁判長は、後藤氏が「監禁状態」に置かれていたことを明確に認め、一審判決(東京地裁)を一部変更し、後藤氏の家族らに計2200万円の支払いを命令。このうち、660万円は宮村氏と家族が連帯して支払い、440万円は松永牧師と宮村氏、家族らが連帯して支払うよう命じた。被告側の控訴はいずれも棄却した。
判決は、後藤氏が「平成7年9月11日に行動の自由を制約されて以来、約12年5か月もの長期間、全く外出することもなく、ただ狭い部屋に監禁状態」にあったと認定。
さらに「監禁等は計画的なもの」だったとし、原告に「重大な被害が生じた」と非難した。
また判決は、宮村氏について「拘束を可能とする場所の提供に関与」したことや、監禁されている状況を十分に認識していたことなどに言及し、「拘束について、これを理解した上で幇助していた」と認めた。
一審では責任が認められなかった松永牧師については、後藤氏の家族の不法行為を「鼓舞」するなどして「自由を制約して脱会の説得をすることを幇助していた」と判断した。
その上で、須藤裁判長は宮村氏と松永牧師に対して「共同不法行為責任を負うべきである」と断じた。
一審判決では、東京地裁が約483万円の損害賠償を認め、そのうち約96万円を家族と宮村氏が連帯して支払うよう命じていた。
判決後に記者会見した後藤氏は「簡単な闘いではなかったが、より高い勝訴を得ることができた。悲惨な事件が現在も継続中であるということを多くの人に知ってもらいたい」と語った。