拉致監禁被害の後藤徹氏、勝訴確定
改宗活動牧師らの上告棄却 最高裁
成人男性を拉致監禁し脱会強要したとして総額2200万円の損害賠償の支払いを命じられた親族と職業的改宗活動家、牧師の上告審判決で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は9月29日、牧師らの上告を棄却した。
この成人男性は12年5カ月にわたって都内のマンションなどに拉致監禁され、世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会)からの脱会を強要された「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会」の後藤徹代表(51)。これで後藤氏の勝訴が確定した。
同法廷は、親族らが①控訴審判決は違憲②控訴審判決理由に不備がある―との主張に対し「その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するもの」であり、上告の理由にならないと判断した。
東京高裁(須藤典明裁判長)は昨年11月13日、拉致監禁の事実認定について後藤氏の主張をほぼ全面的に認め、兄夫婦と妹の3人に対して総額2200万円の支払いを命じるとともに、改宗活動家・宮村峻氏に対してはこのうち1100万円を、また新津福音キリスト教会(新潟市)の松永堡智牧師に対しては同440万円を連帯して支払うよう命じた。
後藤氏は1995年9月に、宮村氏と松永牧師らの指導を受けた両親、兄夫婦、妹らによって、東京都保谷市(現西東京市)の実家から新潟市内のマンションに拉致された。同マンションで1年9カ月間監禁された後、東京・荻窪のマンションに移され、引き続き10年以上、計12年5カ月間監禁された。
この間、宮村氏らは元統一教会信者らを引き連れて何度も監禁現場を訪れ、後藤氏に対する脱会強要を行った。後藤氏は2008年2月に解放された時、体はやせ細り、極度の飢餓状態に陥っていた。
後藤徹は勝訴確定について、「裁判を応援して下さった皆様に心から感謝申し上げます。しかし去年の1月に失踪して以来、まだ監禁されていると思われる石橋正人さんを1日も早く解放しなければなりません。拉致監禁・強制棄教の根絶に向け、ご協力をよろしくお願い申し上げます」とコメントを出した。