TGGを利用した実践事例の発表会

児童の英語意欲高まり、成長

 都教育委員会と株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)が提供する、新しいタイプの体験型英語学習施設が東京・青海に昨年9月にオープンした。今年度だけで約5万人が利用、もしくは予約している。そのうち9割以上の生徒が「楽しかった」「刺激になる」とアンケート調査で回答し、グローバル人材を育成する取り組みとして注目を集めている。(石井孝秀)

教師もプログラムから刺激

TGGを利用した実践事例の発表会

体験時の生徒たちの様子も報告された=1月15日午後、東京・青海の「TOKYO GLOBAL GATEWAY」(石井孝秀撮影)

 TGGは、都教育委員会が英語学習の意欲向上のため、運営企業を公募(学研、市進、エデューレエルシーエー、英語教育協議会、博報堂の5社を最優秀事業応募者として決定)して設置した施設。総面積7000平方㍍の空間の中で1日約600人が学習できる。

 実施するプログラムは2種類。海外のレストランや売店、ホテルなどを再現した空間で日常英会話に挑戦する「アトラクション・エリア」、創作ダンスや番組制作などのグループワークを行いながら英語表現を学ぶ「アクティブイマージョン・エリア」がある。各エリアを体験する児童・生徒のグループには「エージェント」と呼ばれるスタッフが付き添い、英会話コミュケーションをサポートする。英語の習熟レベルに合わせたプログラム展開も可能だ。

 先月15日にはTGGを利用した学校による実践事例の発表会が同施設で行われ、教育関係者ら約200人が耳を傾けた。

 品川区立八潮学園(東京都品川区)は昨年9月に4年生106人が体験した。事前にアトラクション・エリアで使うフレーズなどを練習し、興味と期待を高めて参加。児童らは店員に扮(ふん)したエージェントに欲しい商品を英語で注文することなどに挑戦した。

 参加後、児童らは以前より英語への意欲が高まり、話す時の声も大きくなった。発表した同校の教師は「その成長ぶりには目を見張るものがあった」と驚きを口にする。

 都立南多摩中等教育学校(東京都八王子市)は3年生153人が昨年10月に2日間かけてプログラムを利用。その成果として、参加後は生徒らにオールイングリッシュ(英語のみの学習方法)への耐性が付き、ALT(外国語指導助手)と1対1で行う面接テストでは緊張感低下の傾向が見られた。

 また、生徒のみならず、TGGでは教師も刺激を受けている。エージェントが生徒の文法の間違いをすぐに指摘せず、笑顔で肯定的に受け止める姿を見て、同校の発表者は「授業者として生徒を励ます姿勢を授業でも行いたい」と感想を述べた。

 発表会では立教大学の松本茂教授が学校での英語教育について講演し、「TGGは実践の場であり、モチベーション強化の機会。英語を覚えて、それがどう自分の役に立っているのか実感する体験が(児童・生徒には)必要だ」と呼び掛けた。