子供の主体性重視する算数・数学授業研究会

東京学芸大学竹早地区附属学校園、特色出そうと教員奔走

子供の主体性重視する算数・数学授業研究会

東京学芸大学竹早地区附属学校園で行われた算数・数学授業研究会

 幼・小・中教育の連携を取りながら、教育活動を行う東京学芸大学竹早地区附属学校園で算数・数学授業研究会が1月14日開かれた。竹早地区算数・数学部では、子供の主体性の育成を狙い、「新しい数学を作り出そうとする子」「数学を身近な問題の解決に利用できる子」「数学を使って、人に分かり易く説明しようとする子」の3点を育てたい子供像として実践研究の指針としている。

 同地区の教員は算数・数学を道具として捉え、日常生活で仕事や思考をスムーズに進め、その有効性を感じながら使うものとしている。教える内容だからと、教員側の都合で授業を進めるのではなく、よりよく理解したい、分かりやすくしたい、もっと追究したいという子供側の必要感を大切にしたいと考えている。

 同日の公開授業では1時間目に小学校6年生の「グラフの利用」(平山秀人教諭)、2時間目に中学校1年生の空間図形(小野田啓子教諭)が行われた。

 平山教諭は、あと数カ月で小学校を卒業する児童に、中学校での生活に関心を持ってもらおうと、部活動に着目、特に、男子に人気のある軟式野球部の登録者数を題材に授業を進めた。「教科書に載っている、ありきたりの数字よりも、具体的イメージを持ちやすい」(平山教諭)ことからだ。

 また、小野田啓子教諭による空間図形の授業では「高さ7・5㍍、底辺の正方形の1辺が5・5㍍の正四角すいのツリーの一辺の長さを投影図を書いて求めなさい」(正解は8・5㍍)という問題提示で授業が進められた。

 1000分の1の縮尺で平面図と立面図をどのように、正確に描けるかが実際の長さ(実長)への道筋。正確に描いても、底辺を平行に描くと側面の辺(8センチ)が立面図で実長にならず、底辺の対角線を正面に描くと立面図で側面の辺が実長(8・5センチ)になる。

 正解は簡単なことだが、結論、解答に至るまでに、生徒たちに考えさせ、納得させる授業を進めることは難しい。授業後の協議会でも、「生徒が混乱しているのでは」「図の示し方が悪いのでは」など他校の先生から指摘があった。

 東京学芸大学の杉山吉茂名誉教授は「左右の図を別ものと考えるのではく、左の平面図は求める辺が視線に平行になっていないので90度回転させたものが右の図で、そうすれば、実長になる」と指導すれば、混乱はなくなると講評した。考え方を教え、解答に導くことは簡単だが子供たちの思考をいかに活性化させながら、という課題を解決することは簡単ではない。

(太田和宏)